シマ/島、いま――キューバから・が・に・を 見る |
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ニコラス・ギジェン・ランドリアン
ニコラス・ギジェン・ランドリアン 1938年、カマグエイ生まれ。ハバナ大学で社会政治学を専攻するが中退し、ラジオのアナウンサーの仕事に就く。1962年、ICAICでアシスタント・プロデューサーや助監督の仕事を始める。ICAICに映画教授として招かれていたヨリス・イヴェンスに師事。イヴェンスの『旅行日記』(1961)にはナレーションで参加。1963年から『古い街で』など監督作品を発表する。東部で撮影した3部作『トーア川のオシエル』(1965)、『ルポルタージュ』(1966)『再びバラコアへ』(1966)で、ネオリアリズモ、ヌーヴェル・ヴァーグの影響を受けていた当時のキューバ映画の中で、民俗誌的とも実験的とも形容される独自のスタイルを築く。表現の自由の模索を迫られた中での、作家としての姿勢とその美学が現代の若手作家たちにも影響を与えている。1989年、アメリカに移住。2001年に『Inside Downtown』を監督。2003年7月23日、癌によりマイアミにて逝去。キューバの国民的詩人ニコラス・ギジェンの甥。 |
以下のランドリアン作品はすべて製作会社、提供:ICAIC
古い街で
In an Old NeighborhoodEn un barrio viejo
- キューバ/1963/ダイアローグなし/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/9分
監督、脚本:ニコラス・ギジェン・ランドリアン
撮影:リビオ・デルガド
編集:カイタ・ビジャロン
録音:リカルド・イストゥエタ
製作:ロベルト・レオン・エンリケス
ハバナの旧市街の老朽化した家、瓦屋根、小さな要塞、狭い歩道、玉石を敷いた通り、そして人々……。様々な情景をモザイクのようにつなげたこの愛すべき実験的な短編フィルムからは、キューバという国の特徴が浮かび上がってくる。新と旧、喧噪と静寂、キリスト教と土着宗教“サンテリア”、のどかな暮らしと軍隊、豊かさと貧しさ……。ランドリアンの名が知られることになる代表作。
踊る人々
DancersLos del baile
- キューバ/1965/スペイン語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/6分
監督、脚本:ニコラス・ギジェン・ランドリアン
撮影:ルイス・ガルシア
編集:マリア・エステル・バルデス、フスト・ベガ
音楽:ページョ・エル・アフロカーン、フェデリコ・ガルシア
製作:エドゥアルド・バルデス・リベロ
ページョ・エル・アフロカーンが編み出したラテン音楽“モザンビーケ”のリズムは、キューバ音楽を再び世界に知らしめた。音楽に突き動かされるように踊り狂う男女の熱いトランス。それと対位法をなすように時折差し込まれる優しくメランコリックなクラヴィコードの音色、ひとり物思いにふける顔。それでも人々は踊る。リズムとダンスにあふれかえるキューバのフィエスタ。
トーア川のオシエル
Ociel of the Toa RiverOciel del Toa
- キューバ/1965/スペイン語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/17分
監督、脚本:ニコラス・ギジェン・ランドリアン
撮影:リビオ・デルガード
編集:カイタ・ビジャロン
音楽:ロベルト・バレラ
製作:ホセ・グティエレス
キューバ東部、オリエンテ州を流れるトーア川のほとり。ハバナの都会の生活とは無縁の、川で丸太舟をこぎ、わずかに週末の村での祭や闘鶏、そして教会や日曜学校に通うのを楽しみにする少年オシエルの生活を追うモノクロの映像詩。
再びバラコアへ
Return to BaracoaRetornar a Baracoa
- キューバ/1966/スペイン語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/15分
監督、脚本:ニコラス・ギジェン・ランドリアン
撮影:リビオ・デルガード
編集:アンパロ・ラウセリカ
音楽:レオ・ブローウェル、ウリセス・フェルナンデス
製作:ホセ・グティエレス
島の東端にあり、キューバ随一のチョコレートの産地であるバラコアでは、革命以降、工場建設や開発が進み、社会経済が大きく変化し、ひずみも生まれている。ランドリアンは本作で初めてスチル写真やフォトアニメーション、文字のインサートを使い、その後、多用するようになる。
ルポルタージュ
ReportageReportaje (Plenaria campesina)
- キューバ/1966/スペイン語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/9分
監督、脚本:ニコラス・ギジェン・ランドリアン
撮影:リビオ・デルガード
編集:フスト・ベガ
音楽:アルマンド・ゲーラ
製作:ホセ・グティエレス
村の農夫たちが“ドン・イグノランシア”の棺をかついで山道を行進する。荘重な音楽が流れ、すすり泣く人もいる。一見粛々と見えるその葬列は、どうやらお芝居らしい。よく見ると棺も厚紙でできている……。“イグノランシア”はスペイン語で無知の意。前作のまだ希望があるトーンに比べて、3部作最後の本作は重くシリアスな雰囲気に包まれている。
コフィア・アラビカ
Coffea ArabicaCoffea Arábiga
- キューバ/1968/スペイン語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/18分
監督:ニコラス・ギジェン・ランドリアン
撮影:ルペルシオ・ロペス
編集:イバン・アロチャ
録音:ロドルフォ・プラサ
製作:ホルヘ・ロウコ
種の植え方や疫病予防から収穫、焙煎までコーヒー栽培法がユーモラスに解説されるが、いたるところに喧伝される革命のプロパガンダのノイズの中に徐々に埋もれていく。モンタージュやフォトアニメーション、テキストのインサートなどラディカルで実験的な編集法が、既存の映像言語を更新していく。叔父のニコラス・ギジェンの詩が引用されている。