シマ/島、いま――キューバから・が・に・を 見る |
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サラ・ゴメス
サラ・ゴメス 1943年、ハバナ生まれ。ハバナ音楽院でピアノを6年間学ぶ。ジャーナリストとして働いた後、1961年よりICAICにて助監督を始める。1963年、アニエス・ヴァルダ監督『キューバのみなさん、こんにちは』で助監督を務め、本編にも登場。『Iré a Santiago』(1964)で、キューバ初の女性監督としてデビュー。アフリカ系である出自に基づきながら、男性優位主義、人種差別、キューバ国内の格差問題への批判を投げかけるドキュメンタリーを作り続け、若くして活躍。トマス・グティエレス・アレア監督の『Cumbite』(1964)など劇映画の助監督も務める。ドキュメンタリーとフィクション両方の要素を用い、格差カップルの愛の行方を描いた『ある方法で』(1974)が初長編劇映画作品となるも、ポスト・プロダクションの過程で急性喘息により31歳で逝去。アレアの手によって完成した本編は1978年に公開され、キューバ映画のひとつの金字塔となる。 |
以下のゴメス作品はすべて製作会社、提供:ICAIC
私の家族年代記
Chronicle of My FamilyGuanabacoa: Crónica de mi familia
- キューバ/1966/スペイン語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/13分
監督、脚本:サラ・ゴメス
撮影:ホセ・タビオ、ルイス・マルソア
編集:フスト・ベガ
製作:エドゥアルド・バルデス・リベロ、ヘスス・パスカウ
監督自身の家族の姿がそのまま、人種差別などの後進性を根強く抱えるこの国(“私の家族”)の現実を象徴している。アフリカ系で、キューバ人初の女性映画監督であるサラ・ゴメスは、革命がその平等主義によって人種差別を根絶していくだろうと信じ、その視点からカメラを通してこの国の現実と向き合おうとする。
私たちには味がある ― キューバの音とリズム
And . . . We've Got TasteY. . . tenemos sabor
- キューバ/1967/スペイン語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/30分
監督、脚本:サラ・ゴメス
撮影:マリオ・ガルシア・ホジャ、ホセ・ロペス
編集:フスト・ベガ
製作:ヘスス・パスカウ
コンガ、ボンゴ、クラベス、グイロ、ティンバレス、マラカス……。ルンバの巨匠、アルベルト・サヤス(1908−1983)が実演を交えながら、キューバ楽器を紹介していく。材質、音色、アフリカ起源ながらキューバで独特の発展を遂げた経緯などの話に加え、この国を代表するアーティストたちの演奏が随所に散りばめられ、まさにサボール(味)がてんこ盛り!
ミゲルの島
An Island for MiguelUna isla para Miguel
- キューバ/1967/スペイン語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/22分
監督:サラ・ゴメス
撮影:ルイス・ガルシア
編集:カイタ・ビジャロン
音楽:チューチョ・バルデス
製作:ヘスス・パスカウ
社会的にも経済的にも見放され、非行や犯罪への道を辿り始めていた少年が、ピノス島で教育を受け更正していく。『もうひとつの島』、『宝の島』とともに、後に「青年の島」と改名されるピノス島を描いた3部作を構成、ゴメスの代表作となっている。
もうひとつの島
On the Other IslandEn la otra isla
- キューバ/1968/スペイン語/ モノクロ/ ビデオ(原版:35mm)/41分
監督、脚本:サラ・ゴメス
撮影:ルイス・ガルシア
編集:カイタ・ビジャロン
製作:ヘスス・パスカウ
後に「青年の島」と呼ばれるようになるピノス島には、革命後、“反革命的”な若者たちが連れてこられて、思想教育を受けさせられた。調査研究として制作された本作には、神学生、国外脱出者の娘、そして新体制の敵と見なされた若者たちの話が収められている。
宝の島
Treasure IslandIsla del Tesoro
- キューバ/1969/スペイン語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/10分
監督、脚本:サラ・ゴメス
撮影:ルイス・ガルシア
編集:カイタ・ビジャロン
音楽:アルマンド・ゲーラ
製作:ヘスス・パスカウ
かつてピノス島とも宝の島とも呼ばれた「青年の島」。コロンブスによる発見から1969年までの島の歴史を辿りながら、新旧二世界間の関係や人類と歴史の関係、そしてキューバ革命の意味を検証する。作品の激しく攻撃的な調子は、その実験的なサウンドだけでなく、ゴメスを含むキューバの作家たちが積極的に政治に関わっていたこの時代の反米主義から生まれている。
ある方法で
One Way or AnotherDe cierta manera
- キューバ/1974/スペイン語/モノクロ/ビデオ(原版:35mm)/82分
監督:サラ・ゴメス
撮影:ルイス・ガルシア・メサ
編集:イバン・アロチャ
音楽:セルヒオ・ビティエル
出演:マリオ・バルマセダ、ヨランダ・クエジャール
協力:東京国際女性映画祭
スラム地区再生プロジェクトで、革命を信奉する進歩的な女教師と古い考え方にしがみつく整備工とが出会うという物語を通じて、革命が成功するためには人種差別や男女差別、そして階級差別をなくさなければならないというメッセージを訴える。ドキュメンタリーとフィクションを大胆に融合させたゴメスの遺作。トマス・グティエレス・アレア監督によって完成した。