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やまがたと映画


1010日−11日 [会場]CL CS 山形市民会館大ホール、小ホール

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 本映画祭山形事務局長を10年務め、傍らプロデューサーとして、山形発の映画を製作し続けた髙橋卓也が、昨年10月、66歳で急逝した。市民を巻き込んだ製作委員会方式として最初に取り組んだ劇映画とドキュメンタリー映画で、髙橋を追悼する。また、山形ロケ作品『わらびのこう 蕨野行』の監督であり、 2009年の本映画祭で日本映画監督賞の審査員を務められた恩地日出夫監督も昨年逝去され、追悼上映となる。さらに47年ぶりに発掘された、山形の肘折温泉全編ロケ作品『雪の詩』も上映する。



わらびのこう 蕨野行
Warabinokou: to the Bracken Fields
日本/2003/125分
監督:恩地日出夫 Onchi Hideo
製作・上映支援:髙橋卓也

60歳を過ぎたら村を出て老人だけで暮らすという姥捨の地を舞台に、人間の生と死の本質を問うた傑作。製作資金も含め、恩地日出夫監督が全身全霊で取り組んだ作品。ロケ地となった山形でも、製作委員会を起ち上げ、支援した。後に数々の映画作りに取り組むことになる髙橋にとって、そのきっかけとなった記念碑的作品でもある。監督の恩地は奇しくも髙橋と同じ年に亡くなっている。

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無音の叫び声 木村迪夫の牧野村物語
A Voiceless Cry
日本/2015/122分
監督:原村政樹 Haramura Masaki
製作:髙橋卓也(他6人共同)

山形県上山市牧野に小作人の長男として生れ、太平洋戦争で父を失い、戦後 農政に翻弄されながらも、野良で汗を流し、家族を守り、村の暮らしを見つめ、10代から60年以上、日本の農民の声にならない声を詩に紡ぎ続けてきた詩人 木村迪夫の詩と人生を辿る。

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〈やまがた市民映画学校〉
ひのまる なだて あかい 〜農民詩人、戦後70年目の旅〜
Rising Sun, Why So Red--70 Years After the War: A Farmer Poet's Journey
日本/2015/50分
監督:山形放送 伊藤清隆 Ito Kiyotaka, Yamagata Broadcasting Company

『無音の叫び声』がきっかけとなり、2015年に山形放送が制作したTVドキュメンタリー。木村迪夫が父親の没した中国の地を探る旅を同行取材。 YIDFF 2007小川紳介賞受賞監督のフォン・イェンがコーディネート、出演。

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雪の詩
Snow Poem
日本/1976/80分
監督:波多野勝彦 Hatano Katsuhiko
協力:ドキュメンタリー・ドリームセンター
※本フィルムは、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)の共通目的基金の助成を受けてデジタイズされました。

自分の不注意から家と家族を火事で失った男が、雪国の純真な少女との出会いによって心の傷が癒されてゆくのだが……。半世紀近く前に制作された幻の劇映画がよみがえる。山形の肘折温泉で全編ロケを行い、地元の人たちもエキストラなどで多数出演。「肘折歴史研究会」がフィルムを捜していたところ、国立映画アーカイブが追跡調査、監督ご遺族と連絡がとれた。35ミリのネガと16ミリの上映用プリントから、この度のデジタイズが実現した。YIDFF 2023では「野外スクリーン! で東北を魅る」プログラムで同監督の『雪の肘折温泉』が上映される。

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