ヤマガタ・ラフカット!
●10月9日−10日 [会場]Q1 やまがたクリエイティブシティセンターQ1(2F) 2-B
「ラフカット」とは、映画や映像作品が完成する前の粗編集版(未完成)の状態を指す。このプログラムは、作品に満たない短い映像を上映し、世界中から映画祭に集う人たちとともに見て、感じ、語り、聞く場を作ることを目的としている。映画の「作品」という枠組みを一度ほどき、荒々しく削りだした世界の断片(ラフカット)を頼りに、制作者、観客、批評家、研究者など、あらゆる立場の人びとがジャンルを超えて交わる場から、立場、ジャンル、国境を越えた「映像そのもの(フッテージ)」との「対話」の場の可能性を模索する試みである。
- 同志
Comradeship - 監督:マウク カム ワー(ミャンマー) Mauk Kham Wah
『同志』は、ミャンマーで起きた2021年2月の軍事クーデターに起因する、今なお続く「春の革命」下、カレンニー州(現 カヤー州)での悲劇的な戦闘に焦点を当てたドキュメンタリーである。人民防衛軍(PDF)が倒れた仲間の遺体を回収しようとする。しかし、ふたりの隊員が地雷と自動車事故のせいで脚を失い、作戦は壊滅的な状況に。失意の中、彼らは空っぽの棺で葬儀を行う。
- 忘書
Bou Sho - 監督:華雪(日本) Kasetsu
「忘書」は道や床面に水で書をしたため、それが消えゆくさまを凝視するというプロジェクトである。タイムベーストメディアとしての書。そして大切な記憶ですら風化していくことの表象をワンカットで撮影してみた。忘れるを忘れない。
- 培才(プアイチャイ)
Puay Chai - 監督:キーナン・ヨン(マレーシア) Keenen Yong
プアイチャイ(培才=才能を育てるの意)小学校は、マレーシアのクランバレー地域で最も人口密度の高い都市のひとつ、プタリンジャヤ市にある中国人によって運営されている現地校だ。カメラが回っている間も、子どもたちは普段通りの日々を過ごしている。
- 私(たち)の信仰/Nuestra Fe
Our Faith / Nuestra Fe - 監督:嘉山正太(日本) Kayama Shota
メキシコのグアダルーペ寺院は、かつての征服者たちによって建てられた。だが、そこに祀られる聖母グアダルーペは、仮面をつけた古代の神の生まれ変わりとして、その過去の記憶を現代に蘇らせる。聖母の日に行われたワンカット撮影が虐殺/混血の歴史を映す。