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山形市民による映画制作ワークショップ
エンカウンター・シネマ in Yamagata

〜あの時、“やまがた”で発せられた声なき声を、
いま、ここで、あなたとともに記憶する〜


 今回、初の試みとして、映画祭期間中に、山形市民を対象とした映画制作ワークショップを4日間にわたり開催します。ワークショップへの参加は事前公募ですが、最終日に一般公開にて上映会を行います。

 人生の中でずっと心に秘めていた大事な出来事、一人一人の人生の“あの時”、“あの場所”での体験を、参加者全員で相互に傾聴し合いながら、協働して掘り起こし、この町の“現在”に浮かび上がらせる、そのプロセス全体を「映画」と捉えたワークショップ・プロジェクトです。 これは、どこかの誰かではなく、いま・ここを生きる私たちの映画をつくる/生きる試み。

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 ワークショップは、主にふたつの手順によって構成されます。

 ひとつは、複数の人が集い、一人一人がこの町の具体的なある場所で体験し、心の片隅に秘めていた人生の中での大事な出来事を他者の前で語ること・他者のそれを傾聴すること。

 もうひとつは、語られたエピソードの現在の場所を全員で訪ね、他者と共にカメラを通して、その場所に埋め込まれた声なき声に耳を澄ますこと(重要なのは全員がカメラを回し、撮影開始と終了のタイミングを同期させ、参加したすべての人が同じ時間、同じ場所にいたことをも記録すること)。

 このふたつの時間に撮影された全員分の素材を、タイムラインを崩すことなしに編集・コンバインし、一人一人の体験に参加者全員が目を凝らし、耳を澄ましながら映画作品を制作します。

 通り過ぎるだけでしかなかった街路や、道端の壊れかけたベンチ、食堂の片隅の席やそこから見える風景が、誰かにとってのかけがえのない人生の体験と接続しているかもしれない……。その視線を持てるようになることは、「映画」を、単なる“過去”へのノスタルジーを誘う消費コンテンツとしてではなく、私たちの生きている“現在”を活気づけるアクションとして、人と人、人と場所が出会う場そのものをつくる行為として、捉えていくことでもあります。

(川部良太)


*エンカウンター・シネマは、京都精華大学 全学研究センターから共同研究プロジェクト助成を受けています。今回、これまで京都や東京で実践してきたものの山形版を行います。

【エンカウンターとは?:英語で「遭遇する・出会う」という動詞、あるいは「遭遇・出会い」という名詞。また、心理学用語としての「エンカウンター・グループ(EG)」とも繋がる言葉。「EG」とは、アメリカの心理学者、カール・ロジャースが開発したカウンセリングの方法で、来談者中心療法の理論を健常者グループに当てはめたもの。グループで感じたことを思うままに本音で話し合っていく。】


開催概要

期間:10月6日(金)−9日(月・祝)
会場:山形まなび館
制作支援者:
西光一(京都精華大学)
川部良太(東京造形大学)
橋爪慧(東京造形大学)
協力: 
東京造形大学造形学部デザイン学科映画専攻
京都精華大学芸術学部造形学科映像専攻

公開上映会

日時:10月9日(月・祝)13:30−17:00
料金:入場無料
会場:山形まなび館 交流ルーム7