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[中国]

ゴールド・アンダーグラウンド

Gold Underground
遍地烏金

- 中国/2012/中国語/カラー、モノクロ/Blu-ray/138分

監督:黎小鋒(リー・シャオフォン)、賈愷(ジャー・カイ)
撮影:黎小鋒
編集:賈愷
録音:賈愷、賀濤(フー・タオ)
提供:黎小鋒

オルドス砂漠と黄土高原に接する、中国・北西部の楡林(ユィリン)。痩せた土地が広がる貧しい地域は、約40年前、地下資源が発見され、一夜にして一攫千金を目指す人々を吸い込む炭鉱タウンとなり、「中国のクウェート」と呼ばれるほどの急成長を遂げた。炭坑夫たちと経営者たち、石炭を輸送するトラック運転手、そして運転手を手配する店の女性主人。異なる映像手法によって描かれる3パートを通じて、中国版ゴールドラッシュ物語の現実があぶり出される。



【監督のことば】急速に発展した陝西(シャンシー)省北部は、ある意味で現代中国の縮図と見ることができるだろう。地域全体のGDPが急速に成長する一方、表面上の豊かさとは裏腹に、最貧層は依然貧困にあえいでいる。貧富の格差が拡大すればするほど、貧しい人々はいっそう一攫千金を夢見るようになり、ハマーに乗り、豪華マンションを購入する日を夢想する。そこに立ち込める空気は、人々を浮き足立たせ、不安にさせていく。

 そして「豊かさ」を目指し必死の努力を続けるなか、炭鉱業にいそしむ人々は、むしろ故郷を失い、健康を損ない、果てには代々築かれてきた「信義」という価値観さえも失っていく……。

 他に選択肢はない。これが現代の中国人が直面している避けがたい現実なのだ。だがもし、故郷や健康や信義といった、生きていくうえで最も基本的な要素も勝ち取ることができないとすれば、私たちはいったい何によって幸せを感じることができるのだろうか? 私たちはいったいどうやって生きる意味を見つければ良いのだろうか?


- 黎小鋒(リー・シャオフォン)

中国、江西省生まれ。ドキュメンタリー映画監督、同済大学准教授。ドキュメンタリー映画製作にあたっては、「時の錬金術」というコンセプトを軸に、長い撮影期間を経ることで、物語と登場人物の行末が自然に提示されるような試みを続けている。近年では、個人や家族を題材としたものから、より広範な社会を描くものへと、その作品の幅を拡げている。これまでの作品は数々の国際映画祭で公式上映されており、本作は2012年の北京インディペンデント映画祭で大賞を受賞。主な作品に『Spring Gongs』(2001)、『Walk in the Dark』(2005)、『Pedaling Father』(2007)、『My Last Secret』(2008)などがある。



- 賈愷(ジャー・カイ)

中国のドキュメンタリー映画監督、同済大学助教授。ロバート・J・フラハティの伝記など、これまでに3冊の訳書を刊行している。主な作品に『Pedaling Father』(2007)、『My Last Secret』(2008)など。このほか、中国中央テレビや北京テレビ、上海テレビなどで多数の番組を制作している。