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ヤマガタ・ラフカット!



小さな完成より、豊かな途上を。

 近年、多くの日本のドキュメンタリー作品が劇場公開されるようになり、映画祭や上映会の場も増えています。作品を完成させ、上映にいたることが手近になっている一方で、映画をつくることの目的や意味とは、言うまでもなく、作家として認知されることや、商業的な成功には集約しえないはずのものです。完成を急ぐのではなく、いまそこにある制作途上で模索し、葛藤する過程そのものにこそ、映画をつくることの豊かさはあるのではないでしょうか。

 本プログラムでは、完成作品ではなく、現在制作中の5作品(ラフカット)を上映し、国内外からのゲスト、来場者を交えた公開対話(日英同時通訳付)を開きます。とりわけ、制作過程において他者からの意見に触れる機会の少ない個人制作の映画に注目しています。これは資金集めのプレゼンテーションや優劣を問う場ではなく、途上にある映像に目を凝らし、作り手と観客がともに語り、聞くこと自体を目的とする試みです。会場に集った人々が多様な視点と出会い、映画をつくること/見ることが交錯していくような場になることを願っています。

橋浦太一(プログラム・コーディネーター)