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アフガニスタンから遠く離れて

Far from Afghanistan

- アメリカ、アフガニスタン/2012/英語、パシュトゥン語ほか/カラー/Blu-ray/129分

監督:ジョン・ジャンヴィト、ジョン・ジョスト、スンミ・ユー、 ミンダ・マーティン、トラヴィス・ウィルカーソン
共同作業:アフガン・ヴォイセズ 
製作:スティーブ・ホルムグレン、マイク・ボウズ
製作会社、提供:トラベリング・ライト・プロダクション
www.farfromafghanistan.org

【監督のことば】アメリカ史上最も長い戦争が9年目に入った2010年初頭、アメリカのメディアのわずか4パーセントしか戦争に言及していない、との報告を読んだ。2011年末には、最も死者の多い年であったにもかかわらず、さらに2パーセントに落ち込んでいた。最も戦争が激化している時期に無関心が最も広がっていると知り、「国を挙げての沈黙」に私自身も加担しているような気がした。一市民としてできることのほかに、表現者として何かしなくてはと思い立ったのだった。

 私は製作途中の作品を脇に置き、記念碑的オムニバス映画『ベトナムから遠く離れて』(1967)に触発され、アメリカで最も政治的にアクティブで才能のある多彩な映画作家たちにアプローチを始めた。時間と労力を惜しまずに協力してくれた何百人ものボランティアに助けられ、戦争開始から10周年の2011年10月6日には、90分の『アフガニスタンから遠く離れて(10月版)』が一週間ネット配信され、2つのウェブサイトにアクセスした何千人もの視聴を得た。「10月版」は、YIDFF 2011でただ一度の一般上映を記録している。

- このあとプロデューサーや他の監督たちと協議し、編集を重ねることでより磨かれる部分もあると判断した。そしてアフガン・ヴォイセズというカブールの若いフリージャーナリストの集団と交友を深めた。私とスンミ・ユーは、従軍記者が撮った戦闘地域の断片映像ではない、アフガニスタンの生活の映像が欲しいのだと、電子メールとスカイプを通して伝えた。何十年も戦争が続くなか、人々がどのように対処しているのか映像で見せてくれないかと。

 本作の完全版の世界初上映は2012年のロカルノ国際映画祭で実現し、今も世界中で上映が続く。2年前に山形で見ていただいたものよりさらに豊潤で、胸に迫る、良心を憤らせる映画となっていると思う。

ジョン・ジャンヴィト


ジョン・ジャンヴィト 『私の心は血の中を泳ぐ』
ボストンを拠点とする映画作家、教師、キュレーター。『The Mad Songs of Fernanda Hussein』(2001)などの劇映画、『Profit Motive and the Whispering Wind』(2007)などのドキュメンタリーを製作。フィリピンにおける米軍基地の問題を描く『飛行機雲(クラーク空軍基地)』(2010)はYIDFF 2011で上映。

ジョン・ジョスト 『帝国の十字架』
1963年以来、短編20本以上と長編14本以上を作ってきた。『プレーントーク&コモンセンス』(1987)、『ロンドンスケッチ』(1997)、『シックス・イージー・ピーセス』(2000)、『ウイ・ノン』(2002)、『失われた町のかたち』(2011)がそれぞれYIDFFで上映されている。

スンミ・ユー 『アフガニスタン:新世代』
韓国生まれ。広くメディアやジャンルを扱うアーティスト。写真、フィルム、インスタレーション、テクストなどを用いて疎外された歴史を探る。映画作品に『ISAHN』(2004)、『Dangerous Supplement』(2006)、『Pink』(2011)など。

ミンダ・マーティン 『遠隔オペレーター』
アメリカにおける社会階層の格差と背景について多くのパーソナル・ドキュメンタリーや劇映画を監督・製作。作品には『a.k.a. Kathe』 (2000)、『Monsoon St., '77』(2006)、『Free Land』(2009)など。

トラヴィス・ウィルカーソン 『崩壊のかけら』
キューバの伝説的映画作家サンティアゴ・アルバレスと出会ってから映画運動サード・シネマの流れを汲む映画を作り続ける。作品には『An Injury to One』(2002)、『加速する変動』(1999、YIDFF '99)、『殊勲十字章』(2011、YIDFF 2011)など。