カーキ色の記憶
A Memory in Khaki- カタール/2016/108分
監督:アルフォーズ・タンジュール Alfoz Tanjour
「ここでなければ私はわたしではない」――監督アルフォーズ・タンジュールが敬愛する作家イブラーヒーム・サムイールは、かつてダマスクスへの愛をそう語った。何年か後に、彼は愛したダマスクスを去った。イブラーヒームをはじめ作品には4人の人物が登場し故郷に対する複雑な思いを語る。ある者にとっては故郷はカーキ色に象徴される抑圧的な世界であり、またある者にとっては赤く染まった暴力的な世界である。この映画で監督は、生まれ育った場所を失うことへの例えようもない感情を描く。その苦い悲しみの表現はみる者の心を捉え易々と離さないだろう。