特別招待作品 |
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春天 ― 許金玉の物語
Spring: The Story of Hsu Chin-Yu春天〜許金玉的故事
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台湾/2002/台湾語、北京語/カラー/16mm/80分
監督:曾文珍(ツォン・ウェンチェン)
撮影:李孟哲(リー・モンツァ)、林建享(リン・チエンシアン)、王盈舜(ワン・インシュン)
編集:陳博文(チェン・ポーウェン)、劉春秀(リウ・チュンシウ)
録音:廖祺華(リアオ・チーフア)、陳之浩(チェン・チーハオ)
音楽:陳建年(チェン・チエンニエン)
アニメーション:頼浩然(ライ・ハオラン)
整音:呉秀蘭(ウー・シウラン)
製作:游青萍(ヨウ・チンピン)
提供:福岡市総合図書館 toshokan.city.fukuoka.lg.jp
1950年、台北郵便局に勤めていたごく平凡なひとりの20代女性、許金玉(シュー・チンユイ)。労働運動に参加したため、国民党政府によって逮捕され、15年間にわたって投獄されることになる。共産主義者とみなされた何万という人口が殺害・投獄されたという、「白色テロ」の時代の悪夢を生き抜いた許さんの半生と81歳になった現在を、再現劇やアニメーションも取り混ぜながら描く。
曾文珍(ツォン・ウェンチェン) 淡江大学マスコミ学部、台南芸術学院を卒業後、台湾で注目を集める若きドキュメンタリー監督として活躍。『地盤沈下』(1997)が第7回EARTH VISION地球環境映像祭で入賞。2002年に監督した『春天 ― 許金玉の物語』が台湾のアカデミー賞にあたる第39回金馬奨の最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。その後2003年に、台湾公共電視文化事業基金でドキュメンタリー『世紀栄美齢』を監督し、国内外で好評を博す。劇映画第1作は『飛び魚を待ちながら』(2005)。 |
映画保存について
映画フィルムを歴史文化遺産として未来に受け継ぐことが急務となっています。『春天 ― 許金玉の物語』を収蔵する福岡市総合図書館は、東京国立近代美術館フィルムセンターと並び国際アーカイブ連盟(FIAF)に加盟している映画アーカイブですが、映画の保存、修復、上映を目的とする活動は他にも全国の各種財団、大学図書館、地方自治体、テレビ局等があり、それぞれのテーマや目的に添って行っています。山形ドキュメンタリーフィルムライブラリーもそのひとつで、YIDFFに応募・上映された作品の一部を収集・保存し、鑑賞してもらうために貸し出しをしています。
高度経済成長時代の日本で作られた産業映画・文化映画等の原版が製作会社の倒産や解散によって廃棄・散逸することを危惧し、今年「記録映画アーカイブプロジェクト」がスタートしました。東京大学大学院情報学環、東京藝術大学大学院映像研究科、フィルムセンター、そして記録映画保存センターが連携し、当時の記録映画を体系的に収集・保存・公開し、研究や教育の場で活用することを目的に活動しています。
一方、「映画保存協会」はNPOとして東京の文京区千駄木でコミュニティに根ざした活動を続けています。物置などに眠っている映画フィルムの発掘・調査・復元・公開への活動、保存・活用に関する相談や支援、草の根的な上映を通した交流活動、小型映画に焦点をあてた活動、映画の里親制度などユニークな市民活動を特徴としています。YIDFF 2009でも「いま、映画保存の裏側」と題したトークイベント(10月12日〔月〕18:00〜)が予定されています。