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  • こつなぎ ― 山を巡る百年物語

    Kotsunagi--Iriai, Commons in Japan

    - 日本/2009/日本語/カラー、モノクロ/ビデオ/120分

    監督:中村一夫
    記録資料、撮影:菊地周
    写真撮影:川島浩
    撮影:前島典彦
    録音:篠崎五六
    音楽:三瓶智秋
    語り:すまけい、中村一夫
    企画、製作:菊地文代
    製作会社:株式会社 周
    配給協力:パンドラ
    配給:「こつなぎ」上映実行委員会

    東北地方の山間の集落で、1917年から1975年まで、入会権をめぐる訴訟裁判があった。人々が自由に山に入り、木々や実など山の恵みを享受してきた慣習に対して、近代的な土地所有制度が強制され、結局反地主側の敗北に終わる。40年前に取材に入った菊地周さんら3人が残した映像とインタビュー録音をもとに、闘いの歴史を明らかにしていきながら、現在の人々の暮らしに目を向け、日本の農村における近代化の問題を、今日に問い直す。

    協力:大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所


    - 中村一夫

    1955年、長野県生まれ。大学卒業後、教育映画、PR映画、記録映画を中心に映像制作に携わる。教育映画『ザ・かび』『米作りの盛んな地域』『よみがえるアルミ缶』、NHK教育テレビ 「やってみよう何でも実験」、 テレビCM「東京ガス アメニティドライ」など演出作多数。



    プロデューサーのことば

    -  映画カメラマンの菊地周が1960年(昭和35年)より、すでに取材に入っていた川島浩さん、篠崎五六さんと共に通い続け、記録してまいりました、岩手県二戸郡一戸町小繋(こつなぎ)地域での入会権裁判を巡る出来事を、ようやく1本の作品にまとめることができました。残念なことに 3名とも完成を待たず他界しております。その後、中村一夫監督を始め若いスタッフにご尽力いただき、現在の小繋の様子を加えることもできました。仕上げには7年間かかりました。山あいの小さな集落を二分したこの出来事に深く傷ついた人々が、怨念や苦悩を秘め乍も、やさしく助け合って山の暮らしを生きている姿に学び続ける7年でした。

     入会権はその地域に暮らす人々の生存権と結びついています。東京と小繋を行き来する中で、「入会」という考え方が、山間や農漁村地域だけでなく、都会生活にも深く関わっている思想だと思うようになりました。

     私たちは地球の子どもであり、自然の一部にすぎない、というこの映画の精神(エッセンス)を、ひとりでも多くの方々に共有していただき、次世代を担う若者たちに伝えてゆくためにも、全国に、そして世界に上映を広げたいと思っております。

    (菊地文代)