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交差する過去と現在
――ドイツの場合
A
  • 永遠の美
  • 小さな魚のおとぎ話
  • 名もなき兵士
  • 冬の子どもたち

  • B
  • コミュニストはセックスがお上手?
  • ブラック・ボックス・ジャーマニー
  • あるドイツ人テロリストの告白
  • 反逆者

  • C
  • 誰しもすべては語れない
  • 人民への愛ゆえに
  • キック
  • 閉ざされた時間
  • スクリーンプレイ:時代
  • 掃いて、飲み干せ
  • Program A 戦争の記憶と記録


    敗戦後ドイツは、甚大な被害をもたらした戦争に対峙する数多くの映像作品を生み出してきた。そして今、戦後から60年余を経て戦争を直接知る生存者が減少している事実を前に、ナチズムや第二次大戦に対して、映画はどう向き合うのか。限られた痕跡のなかから、戦争を問うことの可能性とは? 戦争体験を持たない作家たちは過去をどう引き受けていくのか? ここでは、近年のドイツ・ドキュメンタリーが提示する戦争の記憶と記録をめぐる様々な視点やアプローチに光を当てる。


    永遠の美

    Eternal Beauty: Vision and Death Wish in the Third Reich
    Ewige Schönheit: Vision und Todessehnsucht im Dritten Reich

    - ドイツ/2003/ドイツ語、英語/カラー、モノクロ/ビデオ/91分/英語字幕版

    監督、脚本、製作、提供:マルセル・シュヴィーリン
    編集:クリストフ・ジラルデ
    ナレーター:メイガン・ゲイ

    1918年から1945年までの劇映画やプロパガンダ映画の素材を集めて、時系列順、テーマごとに再構成した映像アーカイヴ・ドキュメンタリー。それらのイメージの背後に浮かび上がる欲求、不安、願望……。ナチス・ドイツと視覚芸術の密接な関係性を解き明かす試み。

    - マルセル・シュヴィーリン

    1965年生まれ。映像作家、キュレーター、歴史家。実験映画の製作も手がける。ナチズムにおける美学についての研究に取り組み、世界各国でレクチャーを行っている。



    - 小さな魚のおとぎ話

    The Fairy Tale of the Little Fish
    Märchen vom Fischlein

    ドイツ/2004/ロシア語、英語/カラー/ビデオ/84分/英語吹替え・字幕版

    監督:ヴォルフガング・ラインケ 
    脚本:ヴォルフガング・ラインケ、ヨッヘン・ヴィゾツキ
    撮影:マルタ・プルシュカ 編集:シビル・エックハルト
    製作:イェンス・ケルナー、トーマス・リーデル、オリヴァー・ニーマイヤー
    製作会社、提供:フィルムコンビナート・ノルドオスト

    かつて強制収容所や強制労働キャンプに収容された経験を持つ4人の老人たち。カメラは、現在ラトヴィアに暮らすそれぞれの日常生活を静かに切り取っていく。単なる歴史証言の記録に留まらず、老人たちの豊かなキャラクターや今を生きる彼らを見つめることによって、重なり合う過去と現在が映し出される。

    - ヴォルフガング・ラインケ

    1974年、ギュストロー生まれ。2001年より自主映画製作を始める。作品歴に『Ich wünschte das du hier werst . . . 』(1998-99)、『Kan-pai』(2002)、『Nicht böse sein!』(2006)など。



    - 名もなき兵士

    The Unknown Soldier: What Did You Do in the War, Dad?
    Der Unbekannte Soldat

    ドイツ/2006/ドイツ語/カラー、モノクロ/35mm(1:1.85)/97分/英語字幕版

    監督、脚本、製作:ミヒャエル・フェアヘーフェン
    撮影:チャールズ・ボーニガー、クヌート・ムージク、セルゲイ・イェメロフ、
    ステファン・シンドラー、ヴァレンティン・クルツ
    編集:ガブリエーレ・クレーバー 製作会社、提供:センタナ・フィルムプロダクション
    配給:キノヴェルト・インターナショナル

    -90年代後半に開催された「国防軍の犯罪」展示会は、ユダヤ人虐殺などの犯罪行為はナチスによるもので、国防軍の積極的関与はなかったとする従来の認識を批判するものであった。この展覧会をめぐって起こった様々な議論を中心に、国防軍の加害者性、今日における歴史認識の問題を追究する。


    - ミヒャエル・フェアヘーフェン

    1938年、ベルリン生まれ。ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『わが青春のマリアンヌ』(1955)等に出演。俳優、医師のキャリアを経て、映画製作に従事。『白バラは死なず』(1982)、『ナスティ・ガール』(1990)を始め、国内外の映画祭で数々の受賞経験を持つ。



    - 冬の子どもたち

    Winter's Children
    Winterkinder

    ドイツ/2005/ドイツ語/カラー/35mm(1:1.85)/99分/英語字幕版

    監督、脚本、編集、製作:イェンス・シャンツェ 
    撮影:ベーレス・ヴァイフェンバッハ 
    録音:マルシオ・ヴェルズ、マリオ・ケーラー
    製作会社、提供:イェンス・シャンツェ・フィルムプロダクション

    家族という閉じられた共同体の中で、戦争の記憶はどのように継承されてきたのか? 30代の監督が1954年に亡くなった自身の祖父について、家族内の記憶をたどっていくセルフ・ドキュメンタリー。それまでほとんど語られてこなかった祖父のナチスとの関係が家族全体を巻き込んで明らかにされていく。

    - イェンス・シャンツェ

    1971年、ボン生まれ。ミュンヘン映画テレビ学校(HFF)に学び、2001年に初の長編ドキュメンタリー作品『Otzenrather Sprung』(2001)を監督。