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特別招待作品

Devotion(英題)


- アメリカ、日本/2000/日本語、英語/カラー、モノクロ/ビデオ/82分

監督・撮影・編集・製作:バーバラ・ハマー
助監督:嶋田美子
録音:バーバラ・ハマー、田中純子
音楽:関一郎、縄文太鼓、木村サト
アソシエート・プロデューサー:中野理惠、小野聖子
製作会社・提供:バーバラ・ハマー・プロダクション
Barbara Hammer Productions
55 Bethune Street # 523H, New York, New York 10014 USA
Phone & Fax: 1-212-645-9077
E-mail: bjhammer@aol.com URL: www.barbarahammerfilms.com
配給(日本国内):パンドラ
〒104-0041 東京都中央区新富2-5-10 新富ビル3F
Phone: 03-3555-3987 Fax: 03-3555-8709
E-mail: pandora@pb3.so-net.ne.jp URL: www.pan-dora.co.jp

小川紳介と小川プロダクションは、世界でも類のないドキュメンタリー映画製作の手法をあみだした。1970年代、彼らは三里塚に拠点を置き、メンバー全員が傍らで農作業、傍らでカメラを回すという生活をする中で『三里塚・辺田部落』『三里塚・岩山に鉄塔が出来た』などの傑作をつくりあげていったのである。生活の拠点はやがて山形県上山になり、メンバーも変わっていった。

 小川プロダクションに参加し、あるいは離れていった多くのメンバーや、土本典昭監督、黒木和雄監督、大島渚監督といった同時代を生きた人々へのインタビューを通して小川プロダクションとは、小川紳介とは何だったのか、アメリカ人バーバラ・ハマーが探った作品である。



【監督のことば】『Devotion』は、私が今まで取り組んだ作品の中でも最も困難なものだった。映画史的に重要な位置を占めていた映画製作集団である小川プロのメンバーは、中心的存在だった小川紳介監督が9年前に亡くなってからバラバラになっていた。小川プロを調査し、この作品を完成させるまで2年間を要した。まず最初に何百人ものメンバーや関係者を探し出し、インタビューの収録どころか会うことさえ交渉しなければならなかった。何人かは私と直接話すのを拒絶し、また何人かは個人的に話をしてもらえたが収録は許可してくれなかった。そして何人かは率直に個人的な話をしていただき、サポートしてくれた。

 これはほんの序曲だった。それから私が全く理解不能な日本語での素材70 時間分を編集しなければならなかった。「外国人のあなたがなぜそのようなプロジェクトをするの?」と聞かれるかもしれない。確かにその時、私は無邪気でその後の遭遇した多くの困難を予想しなかった。しかしながら、その深奥なリサーチは私を驚くべきストーリーに導いてくれた。こういったことや、小川プロの傑作の数々、そして歴史がひとつの視点によって描かれてしまうことを防ぎたいという思いが、私を2年間のこの集中的な製作へと促したのである。

 私は歴史には多面的な語りがあると思っている。各々の人たちは同じ体験について相違する物語を語り、そしてまた監督も観客もそれぞれが様々な意味を同時に受け取るべきである。これは始めてみるとさほど難しいことではない。

 私は隠れていたものを顕わにしたり、不可視なものを可視化するような映画やビデオを評価している。

 日本と世界の映画史に貢献できることを願って『Devotion』を創った。

 

- バーバラ・ハマー

1939年アメリカ、ハリウッド生まれ。60年代の終り頃から、8mmで映画を撮り始める。その後、レズビアン・フェミニズムと出会い、現在まで80作品にものぼる実験映画や社会的メッセージの強い作品を発表。世界中の映画祭で上映され数多くの賞を受賞。現代アメリカを代表する映画、ビデオ・アクティヴィストのひとりとなっている。また彼女の製作した映画はいまやレズビアン映画のクラッシックとなっている。1992年に初の長編ドキュメンタリー『ナイトレイト・キス』を発表、スタイリッシュな映像で同性愛の社会・文化史を検証した。1995年、本映画祭インターナショナル・コンペティションの審査員長を務める。『テンダー・フィクションズ』(1995)は、1997年本映画祭コンペ部門で上映。近作に『History Lessons』(2000)などがある。


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