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交差する過去と現在――ドイツの場合


 ナチスと第二次大戦、東西分断、ベルリンの壁崩壊から再統一へ。幾多の変遷を経てきたドイツ。今日における戦争の記憶と記録、東西ドイツ戦後史、東ドイツが残した諸問題を中心に、自らが抱える過去に対して、近年のドイツ・ドキュメンタリーはどのように向き合っているのかを見ていきます。

会場:フォーラム4、中央公民館4F


A 戦争の記憶と記録

敗戦後ドイツは、甚大な被害をもたらした戦争に対峙する数多くの映像作品を生み出してきた。そして今、戦後から60年余を経て戦争を直接知る生存者が減少している事実を前に、ナチズムや第二次大戦に対して、映画はどう向き合うのか? 近年のドイツ・ドキュメンタリーが提示する戦争の記憶と記録をめぐる様々な視点やアプローチに光を当てる。

『永遠の美』2003/マルセル・シュヴィーリン
『小さな魚のおとぎ話』2004/ヴォルフガング・ラインケ
『名もなき兵士』2006/ミヒャエル・フェアヘーフェン
『冬の子どもたち』2005/イェンス・シャンツェ

先頭

B 東西ドイツ戦後史再考

1949年に分断されたドイツは、以後約40年に渡って冷戦の最前線として位置づけられてきた。セックスと経済システムの関係性、反体制運動とその過激化、ネオナチの出現、ベルリンの壁崩壊といった、様々な事件と現象を取り上げた作品を通じて、東西ドイツ戦後史を再考していく。

『コミュニストはセックスがお上手?』2006/アンドレ・マイヤー
『ブラック・ボックス・ジャーマニー』2001/アンドレス・ファイエル
『あるドイツ人テロリストの告白』2005/アレクサンダー・エイ
『反逆者』2005/ヤン・ペーター
『壁』1989-90/ユルゲン・ベットヒャー

先頭

C 東ドイツの痕跡

ここでは、再統一後のドイツが抱えるもう一つの過去、旧東ドイツが残した諸問題と対峙する作品を取り上げる。シュタージを中心とする国家監視システムが残した負の遺産。いまだに解消されていない旧東独・旧西独国民の間に広がる経済格差の溝。過去の映画祭で上映された関連作品も含め、統一後の視点から旧東ドイツの痕跡を辿っていく。

『誰しもすべては語れない』2006/マーク・バウダー 、 デルテ・フランケ
『人民への愛ゆえに』2004/エイアル・シヴァン 、 オードリー・モーリオン
『キック』2005/アンドレス・ファイエル
閉ざされた時間1990/シビル・シェーネマン/YIDFF '91
スクリーンプレイ:時代1993/バーバラ・ユンゲ、ヴィンフリート・ユンゲ/YIDFF '95
掃いて、飲み干せ1997/ゲルト・クロスケ/YIDFF '99