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映画祭2003情報

沖縄特集
琉球電影列伝/境界のワンダーランド


 「クロニクルな映像の森で、境界のワンダーランドとなった「沖縄」が立ち昇ってくる時、モノリンガルな「日本」の前提が揺らぎ、人は〈鏡〉と〈窓〉になる。沖縄を通して映画の旅が新たに始まる…。」

 ドキュメンタリー、劇映画、TVドキュメンタリーの枠組みを越えた「琉球電影列伝」をお届けします! 戦前の貴重なフィルムから沖縄イメージが乱反射する現在の映像まで、沖縄戦とアメリカ占領、日本復帰前後の激動を描いた映像を挟み、10のテーマで構成。シンポジウム、トークや生演奏付き上映を交えた多彩なプログラムです。そのほか「琉球エグゾチカ 大城美佐子 島唄ライブ」、「写真展:太陽の果実 沖縄写真ラプソディ」、「沖縄物産市」など楽しいイベント盛り沢山!


Part 1 オリエンタル琉球――昭和・戦前期、沖縄への視点

1879(明治12)年の琉球処分によって「琉球」は日本の版図に編入され「沖縄」となったが、独特な目鼻立ちをした海南の地は「日本であって日本ではない」双面を併せ持っていた。日本の近代はどのように「南」を眼差し、何を求めたのか。その謎と疑問が、残された貴重な映像から明らかになる。

『沖繩』1936/35mm/14分
『沖縄本島及び周辺離島の風物(河村只雄撮影未編集フィルム)』
 1936-40/ビデオ(原版:8mm)/40分
『琉球の民藝』監修:柳宗悦、式場隆三郎/1939/16mm/11分
『琉球の風物』監修:柳宗悦、式場隆三郎/1940/16mm/13分
『南の島 琉球』1940頃/16mm/11分
『海の民 沖縄島物語』1942/35mm/27分
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Part 2 沖縄戦・日米最後の戦闘/沖縄戦記録フィルムを巡って

「アイスバーグ作戦」と名付けた沖縄作戦にアメリカ軍は各部隊ごとに専属カメラマンを配し、戦況を克明にカメラに収めた。フィルムに写し込まれた容赦ない記録。だが、同じ映像が異なる文脈に置かれると、全く違う意味を持って現れる。戦争報道やドキュメンタリーを根本から問い直す。

  1. 容赦なき記録
    『沖縄戦記録フィルム〜1フィート運動収集フィルムより(未編集版)』
     1945/16mm/120分
  2. 記録とプロパガンダ
    ドイツニュース映画「フィルムで見る世界」Welt im Filmより
     1945/35mm/60分
    アメリカ軍公式広報映画より
    『太平洋・琉球作戦』
    『沖縄征服』
    『沖縄の第6海兵師団』1945/ビデオ(原版:16mm)/90分
  3. 記憶化と語り継ぎ
    『1フィート映像でつづるドキュメント沖縄戦』1995/ビデオ/57分
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Part 3 沖縄戦を彫る/記憶のクロニクル

「鉄の暴風」と形容された沖縄戦は、日米双方の軍隊による戦闘という以上に、近代日本の構造的歪みや沖縄と日本の複雑な絡み合いを垣間見せた。沖縄戦から見えてくる軍隊と教育、加害と被害の重層構造、記憶と証言のあり方、そして人間の内部に住む闇。その闇に迫り「戦争の世紀」を沖縄戦から探照する。

  1. 果てしなき問い
    『ひめゆりの塔』今井正/1953/16mm(原版:35mm)/131分/英語字幕版
    『激動の昭和史 沖縄決戦』岡本喜八/1971/35mm/149分
    『ひめゆり戦史 いま問う、国家と教育』1979/ビデオ/48分
    『空白の戦史 沖縄住民虐殺35年』1980/ビデオ/25分
    『遅すぎた聖断 ― 検証・沖縄戦への道』1988/ビデオ/45分
  2. 声と語りの衝撃 今、生きる言葉と記憶
    『島クトゥバで語る戦世〈全6部〉』2003/ビデオ/360分/日本語字幕版
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Part 4 アメリカニゼーションとジャパニゼーション

1952年のサンフランシスコ講和条約によってアメリカの占領下に置かれた沖縄。その沖縄はアメリカにとっては極東の軍事的要石として、日本にとっては敗戦によって揺らいだ「国体」の延命と「独立」のための捨て駒となった。日米の狭間で揺れた沖縄の夢や抵抗の歴史的変遷を辿る。

  1. 「アメリカ世」のプロモーション
    『起ちあがる琉球』ビデオ(原版:35mm)/37分
    『この十年 第一部』ビデオ(原版:35mm)/14分
    『琉球ニュース・セレクション』ビデオ(原版:35mm)/65分
  2. 「Aサイン」時代のソウルグラフィー
    『OKINAWAN BOYS オキナワの少年』新城卓/1983/35mm/117分/英語字幕版
    『Aサインデイズ』崔洋一/1989/16mm(原版:35mm)/111分/英語字幕版
  3. 「祖国」への憧憬/「27度線」の向こうがわ
    『沖縄・祖国への道』1967/16mm(原版:35mm)/22分
    『沖縄の声』1969/16mm(原版:35mm)/30分
    『石のうた』1965/16mm/41分
    『沖縄の十八歳』1966/ビデオ/25分
    『復帰協闘争史』1977/ビデオ(原版:16mm)/40分
  4. 沖縄返還の舞台裏
    『As Okinawa Goes, So Goes Japan ― 秘密文書が明かす沖縄返還』
     1997/ビデオ/45分
    『告発 ― 外務省機密漏洩事件から30年、今語られる真実』
     2002/ビデオ/45分
    『「その時」のニュース映画(読売国際ニュースより)』
     1968-72/16mm、ビデオ(原版:35mm)/15分
     第1044号 激動する沖縄
     第1168号 沖縄返還協定に調印
     第1215号 沖縄帰る
  5. 「アメリカ」と「日本」の狭間
    『沖縄列島』東陽一/1969/16mm(原版:35mm)/90分
    『かたき土を破りて ―沖縄'71―』1971/ビデオ/25分
    『シリーズ「戦後40年」若きオキナワたちの軌跡』1985/ビデオ/50分
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Part 5 「世替わり」のクロスワールド/〈27度線〉が消える時

1972年、沖縄は日本に「復帰」した。「本土化」の波が流れ込む一方、復帰運動が覆い隠した矛盾が露出し、時にねじれ、時に鋭い衝突を引き起こした。こうした「世替わり」の諸相に踏み込んだ一群の映画が制作された。と同時に、沖縄の内部から新たな映像の文体の模索も始まった。

  1. 重なり合う声、絡まり合う目
    『やさしいにっぽん人』東陽一/1971/16mm(原版:35mm)/118分
  2. 「暴力」の代理と「抗争」の迷宮
    『沖縄やくざ戦争』中島貞夫/1976/35mm/96分
    『海燕ジョーの奇跡』藤田敏八/1984/16mm (原版:35mm)/134分/英語字幕版
  3. 「ヤマト世」の浸透と「沖縄」の創造
    『1975 OKINAWAヌ夏』富本実/1975/16mm/15分
    『謝花昇を呼ぶ時』富本実/1976/16mm/30分
    『ヤマングーヌティーダ』謝花謙/1978/16mm/35分
    『沖繩列伝第1 島小』吉田豊/1978/16mm/75分
    『一幕一場・沖縄人類館』1978/ビデオ/25分
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Part 6 沖縄ディアスポラ/「出沖縄」の軌跡

多くの移民を輩出している沖縄。戦前は「蘇鉄地獄」と呼ばれた経済的苦境からの脱出と残された家族の救済のために、戦後はアメリカ軍の強制的な土地接収による離散から、人々は海を渡った。沖縄エグザイル(流人)たちが生きた近代と現代、光と影、望郷と海。「出沖縄」の軌跡を見る。

『船出 沖縄編』1972/ビデオ/25分
『おきなうえんせ ラテンアメリカに生きる沖縄県人
 〈ボリビア編〉、〈ペルー編〉』1977/ビデオ/50分
『ヒア・サ・サ ― ハイ・ヤ!』オルガ・フテンマ/1985/ビデオ/27分
『裏切りの記憶』1988/ビデオ/25分
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Part 7 沖縄・コロニアルランドスケープ〜非連続の同時代として

移民、第二次世界大戦、米軍占領、激動の世替わりを潜り抜けた沖縄の声に耳を傾け、沖縄の記憶に目を凝らす外国の映画人たちが少なからずいた。異文化からの接触から生まれた映像の詩学。

  1. 植民地のエレジーと占領のクリシェ
    『無言の丘』王童(ワン・トン)/台湾/1992/35mm/165分
    『八月十五夜の茶屋』
     ダニエル・マン/アメリカ/1956/ビデオ(原版:35mm)/124分/日本語字幕版
  2. 沖縄戦の分有
    『そこに光を』ジョン・ヒューストン/アメリカ/1946/16mm(原版:35mm)/58分
    『レベル5』クリス・マルケル/フランス/1996/35mm/106分
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Part 8 地のウタ、天界のファンタジー

日本と台湾の間に点在する弧状の列島。島々には始原の神々と交歓する女たちに担われた祭祀があり、汎アジア的な音階と蛇皮線が紡ぐ唄がある。亜熱帯の想像力は、地上と天界を自在に往還する未知の星人を創造した。神々が遊行し、ウタが溢れ、ファンタジーが繁茂する。

  1. 音とファンタジーの響宴
    『月城物語』大日向伝/1959/ビデオ(原版:16mm)/40分
    『吉屋チルー物語』 金城哲夫/1962/16mm/96分
    『ウルトラセブン「ノンマルトの使者」』1968/ビデオ(原版:16mm)/25分
    『あじまぁのウタ』(10月16日[木]YIDFF2003クロージング上映)
     青山真治/2002/35mm/88分/英語字幕版
  2. マブイ(魂)と神々の遊行
    『ナナムイ/第一章 神歌編』2003/ビデオ/79分/日本語字幕版
    『ナナムイ/第二章 ユークイ編』2003/ビデオ/79分/日本語字幕版
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Part 9 沖縄の血・地・知・痴、そしてchi――高嶺剛の世界

高嶺剛の登場は、沖縄を巡る映画史に句読点を打った。「特集内特集」として高嶺剛の映像群から浮かび上がってくる複数の沖縄とマジックリアリズムを堪能してもらう、高嶺ワールドクロニクル。高嶺以前と以後では、沖縄を巡る映画が明らかに変ったことを知らされる。

『サシングヮー』1973/8mm/15分
『オキナワン ドリーム ショー』(生演奏付き)1974/8mm/180分
『オキナワン チルダイ〈特別版〉』1976〜/ビデオ(原版:8mm)/78分/日本語字幕版
『パラダイスビュー』1985/16mm(原版:35mm)/113分/日本語・英語字幕版
『ウンタマギルー』1989/35mm/120分/日本語・英語字幕版
『嘉手苅林昌 唄と語り』1994/ビデオ/59分/日本語字幕版
『夢幻琉球・つるヘンリー』1998/ビデオ/90分/日本語字幕版
『私的撮夢幻琉球 J・M』1996〜/ビデオ/54分/日本語字幕版
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Part 10 沖縄イメージの乱反射

沖縄は映画的な島である。それは量的な意味だけではなく、映像が提示する質と境界横断的な広がりにおいてそうなのである。なぜこれほどまでに眼差しが注がれ、表現の欲望を駆り立てられるのか。沖縄イメージの乱反射から、新しい世代の作り手はどのような映画の旅を始めるのか。

  1. 「沖縄イメージ」の鏡像
    『白い壁画』千葉泰樹/1942/35mm/96分
    『ソナチネ』北野武/1993/35mm/94分
  2. オキナワ・ミックス・スプリット
    『パイナップルツアーズ』真喜屋力、中江裕司、當間早志/1992/35mm/118分/日本語・英語字幕版
    『たたかう兎』具志堅剛/1992/8mm/42分
    『ヒッチ・ハイカー』謝花謙/1977/16mm/15分
  • 彩縄粋風〜沖縄発・若手作家ショートフィルム集
    『とぶこつ』小松橋人/2001/ビデオ/8分
    『忍者2000ミレニアム』川端匠志/2001/ビデオ/13分
    『Wonder Frog』又吉浩/2001/ビデオ/6分
    『夏休みの実験』又吉浩/2002/ビデオ/3分
    『未定』亀島誠/2003/ビデオ/10分
    『Call』宮平貴子/2001/ビデオ/19分
    『琉球アンダーグラウンド「花〜すべての人の心に花を〜」』
     具志堅剛/2003/ビデオ/5分
    『やちむん 「青空」』當間早志/1994/ビデオ/6分
    『やちむん 「北前ソング」』當間早志/1994/ビデオ/5分
    『やちむん '93 LIVE in OFT Opening Movie』當間早志/1993/ビデオ/11分
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シンポジウム「異化と越境――沖縄・映像のトポロジー」

映画の中で沖縄はどのように表象されてきたのか。琉球電影の魅力と、沖縄という場が喚起する実状について論じる。

日時:10月12日[日]15:10
会場:ソラリス2 
※入場無料
パネラー:高嶺剛(映画監督)、西谷修(批評家)、アーロン・ジェロー(日 本映画研究家)、仲里効(沖縄特集コーディネーター)

他ゲスト:
比嘉豊光、村山友江(琉球弧を記録する会)、福地曠昭(沖縄戦記録フィルム1フィートの会)、森口豁(フリージャーナリスト)、大城美佐子(島唄歌手)

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