インターナショナル・コンペティションの特徴と傾向
今回のインターナショナル・コンペティションは、2002年9月1日から2003年3月31日まで作品募集をおこない、過去最高となる902作品(前回は670作品)の応募がありました。数ヶ月にわたる選考を経て、上映作品15本(フィルム作品7本、ビデオ作品8本)を選出いたしました。
今回応募された対象作品のうち78%(約700本)がビデオ作品でした。前回2001年の応募におけるビデオ作品の割合が70%でしたので、全体に占める割合はますます高くなっているということがいえます。選ばれた15作品のうちビデオ作品は8本と過半数を占めました。山形映画祭のコンペティションではフィルムとビデオを区別することなく審査しております。
これだけ多くの作品が応募されると、多種多様なテーマが見られ全体の特徴を一言で表すのは難しいのですが、やはり世界中で今なお続く戦争・内戦やそれによって引き起こされた悲劇を取りあげた作品が多く寄せられました。一昨年の9.11同時多発テロやアフガン攻撃、イラク攻撃などをテーマにした作品も何本か見受けられました。コンペには選出されませんでしたが、映画祭の他のプログラムでこのテーマの作品が上映される可能性はまだ残されています。様々な視点で描かれた作品から見えてくる事柄は、テレビや新聞などマスコミ報道からはうかがうことのできないものも多く、ドキュメンタリーの果たす役割のひとつを見る思いがします。
またビデオの登場は作者の身のまわりのことをテーマにしたパーソナルな視点によるドキュメンタリーの増加という傾向を生み出しました。これまでは個人映画といえば限られた世界を対象としたものが多かったのですが、今回は作者自身や、家族、友人などを取材対象としながら、社会の動きなども見据えた幅広い視点からの作品が数多く見られ、コンペにも何本か選ばれています。
過去に山形映画祭で上映された監督の新作も数多く寄せられました。なじみのある監督の新作を上映・鑑賞できることは映画祭の大きな楽しみのひとつだとも思われます。今回の15本の中にも過去にインターナショナル・コンペティションやアジア千波万波で上映されたことのある監督の作品が6本選ばれました。ドキュメンタリー作品の劇場公開のチャンスはまだ多くはありません。ある監督の成長の過程や作風の変化などを見続けることができるのも山形映画祭の継続性がもたらす特色のひとつとなっているように思われます。
世界が刻一刻変わりつつあるように、ドキュメンタリー映画も日々変貌を続けています。バラエティに富んだ15作品はそのままドキュメンタリーの多様性を示す15作品でもあるといえます。皆さまの幅広い参加と忌憚のないご意見をお待ちしています。
山形事務局コーディネイター 斉藤久雄
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