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2009-06-03 | 月刊ヤマガタ〈7月号−9月号〉

 今年21年目を迎える山形国際ドキュメンタリー映画祭では、第一回目から上映した日本語字幕入りフィルムを収蔵してきました。

 世界中から集められた“時代の映し鏡”の中から、忘れられた名作や、今の時代だからこそ見なおしたい注目作を再発見し、東京で連続上映しています。

月刊ヤマガタ〈7月号−9月号〉

月刊ヤマガタ7月号
714日[火]19:30(開場19:15)
アンダーグラウンド・オーケストラ監督:エディ・ホニグマン
オランダ/1997/35mm/115分/YIDFF '99 インターナショナル・コンペティション審査員特別賞

地下鉄で、街角で、思い思いの楽器を演奏し糧を得ているパリの音楽家たち。その多くは政治亡命者であり不法移民である彼らの過酷な現実と、クラシックからシャンソン、R&Bなど演奏される音楽の素晴らしさ。世界各地からパリへとやってきた彼らを、パリ祭の日に観よう! 監督のエディ・ホニグマンは1951年リマ生まれ、70年代にオランダに移住。ペルーのタクシー運転手を撮った『メタル&メランコリー』(YIDFF '95最優秀賞)や『クレイジー』(YIDFF 2001で上映)など、彼女は毎年新作を発表している多作のドキュメンタリー作家。1999年審査員特別賞受賞。

トークゲスト:平井玄(批評家)
 1952年、東京・新宿生まれ。ジャズを中心とする音楽の批評・プロデュースの他、様々な社会活動に携わる。音楽と思想がぶつかり合う独特の場所で思考してきた。音楽文化論。著書に『路上のマテリアリズム』(社会評論社)、『ミッキーマウスのプロレタリア宣言』(太田出版)、『千のムジカ』(青土社)などがある。共著も『音の力』シリーズ(インパクト出版会)など多数。現在、横浜国立大学人間教育学部非常勤講師。



月刊ヤマガタ8月号
818日[火]19:30(開場19:15)
刑法175条監督:ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン
アメリカ/1999/35mm/81分/YIDFF 2001 インターナショナル・コンペティション

ナチスによる迫害は、ユダヤ人だけではなく同性愛者にも及んでいた。同性愛者を差別するドイツの“刑法175条”によって弾圧された彼らは、自身の体験を語ることはほとんどなかった。強制収容所での体験、恋人の虐殺、地下抵抗組織の指導者としての経験が、ゲイ男性たちとひとりのレズビアン女性によって語られる。エプスタインはドキュメンタリー『ハーヴェイ・ミルク』(1984)でオスカーを受賞し、フリードマンと共同でハリウッドの歴史を描いた『セルロイド・クローゼット』(1995)ではハリウッド映画史に秘められた性的マイノリティーや検閲の問題を暴き、アメリカの政治、文化の変遷を描いている。

トークゲスト:溝口彰子
 1990年代、東京・中野のレズビアンとバイセクシュアル女性のためのコミュニティ「LOUD」の創設を始めレズビアン・アクティヴィストとして活発に活動した後、米国ロチェスター大学ビジュアル&カルチュラル・スタディーズ・プログラムに留学。PhD取得(指導教官:ダグラス・クリンプ)。クィア理論、表象理論、ジェンダー論、映画論、美術史。ヤオイや映画についての論考多数。バーバラ・ハマー監督『テンダー・フィクションズ』、タン・カイシン監督『塩素中毒』などの字幕も手がけている。
DocBox #17:「『日本の女性映画製作者』学会」



月刊ヤマガタ9月号
910日[木]19:30(開場19:15)
思いやりの話監督:チャン・ヴァン・トゥイ&「映画祭直前お宝作品」
ベトナム/1986/35mm/45分/YIDFF '91 アジア・プログラム

ベトナムにおいて独自のペレストロイカを試みた時代。市民の生活の仕方と、個人の道徳観念について描くことを装いながら、ユーモアあふれる独特の語り口で社会批評をやってのける。「私は、この『思いやりの話』を見るたびにいつも、おおらかな笑いの精神に無限の勇気を与えられる」と故佐藤真監督(『ドキュメンタリー映画の地平』)。このフィルムは世界で現存するただ一本と言われ、海外でも上映に使われている。10月の今年の映画祭本番直前のサプライズ上映と合わせてどうぞ!


※上映開始30分経過後はご入場いただけません。

[会場] シネマート六本木 3F スクリーン4(東京都港区六本木3-8-15)
[料金] 当日一般1,500円、学生・シニア1,000円(回数券あり、お問い合わせください)
[問い合わせ] phone: 03-5362-0672(山形国際ドキュメンタリー映画祭東京事務局) e-mail: mail@tokyo.yidff.jp