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YIDFF 2023 クロージング作品
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The List

イギリス/2023/英語、ペルシャ語/カラー/DCP/65分

- 監督、撮影、編集:ハナ・マフマルバフ
製作:メイサム・マフマルバフ
製作会社、提供:Makhmalbaf Film House

2021年、国際駐留部隊の撤退に伴い、数日にしてタリバンが復権したアフガニスタン。突如、処刑の危機にさらされた多くの芸術家、映画人たちの出国の手助けに映画作家モフセン・マフマルバフと一家が、ロンドンの自宅から電話とパソコンを手に奔走する。脱出させるべき文化人たちの「リスト」を壁に張り出し、脱出用の飛行機へと彼らを誘導しようとするも、カブール空港には、国外脱出のために他にも多くの人たちが駆け込み、一筋縄ではいかない。カブールとロンドンの現場が交錯しながら限られた時間に焦燥感が募る中、一家は最善を尽くす。



【監督のことば】2021年8月、米国大統領がアフガニスタンからの撤退を突然発表するや、タリバンは急速に勢いをつけ、政権に返り咲いた。数日後、カブールから国際軍が最終的に撤退すると、何百万ものアフガニスタン人の生活は、突然悪い方向へと転じた。過去20年間タリバンに抗う映画を制作してきた数多くの地元アーティストや映画制作者は、一夜にして最悪の敵の手の内にいることを悟った。俳優や作家、ジャーナリストたちの命が即座に甚大な危険にさらされたのだ。有名人として長年メディアに登場していた彼らがタリバンから身を潜める場所を見つけることはかなわなかった。

 タリバンから処刑されたり拷問を受けたりするのではないかとおびえ、国内でもっと残忍な死に方をするよりはと、離陸しようとする米軍機の翼にしがみついた者たちもいた。

 アフガニスタンで映画を何本か撮り、この先起こりうる人類の大惨事に気付いていた私たちは、差し迫った命の危殆に瀕しているアーティストやジャーナリストやその家族総勢800人以上を救出するための努力に乗り出した。私たちのチームは残された1週間に世界中のありとあらゆる人に連絡して、死の危機にさらされているこれら人々の命を救うための協力を仰いだのだ。

 この映画は、アフガニスタンでのそんな最後の数日間の一部を記録したものである。

 この映画は、まだあと幾人かの命を救いたいと切望する私の、心からの叫びである。


- ハナ・マフマルバフ

ごく幼い年齢で短編映画やドキュメンタリーを制作するキャリアをスタート。ドキュメンタリー映画『ハナのアフガンノート』(2003)はヴェネチア国際映画祭でプレミア上映され、14歳で世界3大映画祭出品の最年少記録を打ち立てるなど、さまざまな賞を受賞した。18歳の時、初の長編映画『子供の情景』(2007)でベルリン国際映画祭クリスタル・ベア賞を受賞。監督作品『グリーン・デイズ』(2009)は6年ぶりにイタリアに戻り、第66回ヴェネチア国際映画祭で観客を魅了した。