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審査員
塩崎登史子


- ●審査員のことば

 日本を含めたアジアのドキュメンタリー制作者にとって、YIDFFは最良の学びの場であり、上映は夢。私にとっても格別な映画祭だ。監督作品『土の記憶』のアジア千波万波での上映、その他関わった作品が上映されるたびに訪れるが、関係ない年も観客として可能な限り訪れている。また私が教えている大学に来日した監督を招き、上映会を通じて学生たちと交流してもらったりと、深く関わってきた。

 このアジア千波万波には、日本のテレビではなかなか見られないアジアの貴重な作品が集結する。荒削りだが、現場の空気や息遣いがリアルに伝わってくる作品の数々。言葉を超えた作者の思いの強さに圧倒されることもしばしば。そのカオス自体も体験してほしい。そして上映後のトークも見逃せない。その国の事情がよりヴィヴィッドにわかるだろう。

 さらに関心あれば、夜、香味庵に行ってみよう。制作者と飲みながら直接語り合う機会があるかも! 制作者と観客の距離の近さもYIDFFの魅力。世界のドキュメンタリー制作者たちが山形に魅了される理由だ。そんなドキュメンタリーの都! 山形で、今回審査員という栄誉ある機会をいただき感謝するとともに、素晴らしい作品との出会いを楽しみにしている。


塩崎登史子

日本生まれ。武蔵野美術短期大学工芸デザイン専攻卒。テレビ番組のディレクターを経て、奨学生制度で英国国立映画テレビ学校ドキュメンタリー科に学ぶ。卒業作品『土の記憶』(1996)は海外のドキュメンタリー映画祭で好評を博し、YIDFF '97アジア千波万波でも上映された。他の監督作品に、大英帝国のため旧日本軍と戦い捕虜になった経験があるロンドン在住のインド人を追った16ミリ作品『Captain Singh』(1996)などがある。現在は桜美林大学などで教鞭を執る傍ら、国内外のドキュメンタリー作家と連携した映像制作に携わる。



土の記憶

Memory of the Soil

- イギリス/1996/日本語/カラー/16mm/47分

監督、製作、配給:塩崎登史子
撮影、録音:リン・ラムゼイ、塩崎登史子
編集:ソティラ・キリァク
音響:ギャギク・カラグジアン
提供:英国国立映画テレビ学校

土や石が持つ記憶をたぐり寄せ、作品を生み出すアーティスト栗田宏一、萬子夫妻。甲府を拠点とした彼らの暮らしの空気と土の感触を、フィルムにそっとおさめたアートドキュメンタリー。



「枝川ハッキョの子どもたち」プロジェクト

Children of the Hakkyo School Project

- 日本/2017/日本語、朝鮮語/ カラー/ビデオ/35分(ワークインプログレス)

監督、撮影:塩崎登史子
撮影:藤井遼介、竹野裕子、明石薫

1946年、東京都江東区枝川に設立、枝川裁判で知られる東京朝鮮第2初級学校。老朽化した校舎の建て直しを機に2010年から撮影開始。子どもたちの成長を見守りつつ、何気ない表情を記録し続けてきた映像の一部を紹介する。