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[フィリピン]

猫、犬、動物、そしてサシミのこと

Of Cats, Dogs, Farm Animals and Sashimi

- フィリピン/2015/ビサヤ語、スバノン語/カラー/Blu-ray/78分

監督、脚本、撮影、製作:ペリー・ディゾン
編集:アービー・バルバロナ、 ペリー・ディゾン
録音:アービー・バルバロナ
エグゼクティブ・プロデューサー:リリク・デラ・クルズ
製作会社、提供:Luna Backyard Project

ミンダナオ島のザンボアンガ。季節労働者の母とともに、ゴム農園などを転々としながら成長したドンドン。厳しい生活のなかにも、ふとした瞬間に少年から大人に変わりゆく顔を見せる。カメラは、ケチな雇い主とキニラウを作り、家族や将来について思い悩む少年のつぶやきを拾いながら、猫、子どもたち、魚の売買を取り仕切る怖いおばさん、フィエスタの準備をする村の人たちなど、空いっぱいに広がる漁村の生活を淡々と描く。



- 【監督のことば】フィリピンは多様な文化を持つ国であり、高度にアジア的であると同時に、昔も今も西洋文明の影響を強く受けている。いくつかの島のなかには、人知れず「封建的」な制度を今も続けている民族や部族も存在する。ミンダナオ島も例外ではなく、1800年代初頭に入植してきたスペイン人は、現地に浸透するのにかなり苦労した。そのため、この「主人と従者」の関係は、島の文化として根強く残っている。私たちの物語も、そこから始まる。舞台はミンダナオ島の南端、ザンボアンガにあるシブガイ湾の入江だ。主人公の若い農園労働者たちは、先祖代々、この小さな地域のほぼすべてを所有する一家の下で働いてきた。彼らの夢、希望、そして何者かになりたいという意志を軸に、ときに皮肉やソクラテス的な味わいも交えながら、自由気ままに物語は進む。世界はすでに混沌としているのだから、物事をさらに複雑にする必要はない。ただ自分のシンプルな物語を語ればいいだけだ。もし誰も聞いてくれなかったら、猫に向かって話せばよい。


- ペリー・ディゾン

フィリピン・ミンダナオ出身の映画作家。マラウィ市にあるミンダナオ州立大学で人類学を学ぶ。美術監督、俳優、助監督として国内外で映画制作に携わる。主な作品に、ラヴ・ディアズ監督の『メランコリア』(2008)、『北(ノルテ)― 歴史の終わり』(2013)、『Mula sa kung ano ang noon』(20014)、アーネル・マードキオ監督の『Sheika』(2010)、『Ang paglalakbay ng mga bituin sa gabing madilim』(2012)、『lisa』(2015)などがある。現在制作中のクリストファー・ゴザム監督の『Ashes and Ghosts of Tayug 1931』では、主役のペドロ・カロサ役を演じている。『猫、犬、動物、そしてサシミのこと』は初監督作品。