モロ・ノ・ブラジル
Sound of BrasilMoro no Brasil
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ドイツ、ブラジル、フィンランド/2002/英語、ポルトガル語/カラー/35mm(1:1.85)/105分
監督:ミカ・カウリスマキ
脚本:ミカ・カウリスマキ、ジョルジ・モウラ
撮影:ジャッケス・シェウイッシェ
編集:カレン・ハーレイ
録音:クリスチアーノ・マシエル
サウンド・デザイン:ウーヴェ・ドレーシュ、ロベルト・ファウスト
製作総指揮:ハンス・ロベルト・アイゼンハウアー
製作:フィービィー・クラーク
アーティスト:セウ・ジョルジ、ジャシント・シウヴァ、シウヴェリオ・ペッソア、マルガレッチ・メネーゼス、イヴォ・メイレリス&ファンキン・ラタ、ヴェーリャ・グアルダ・ダ・マンゲイラ
製作会社:マグナテル TV GmbH
配給(日本国内):株式会社エプコット−アルシネテラン・ディヴィジョン
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷4-5-6 トキワビル2F
Phone: 03-5467-3730 Fax: 03-5467-3731
E-mail: mail@alcine-terran.com URL: www.alcine-terran.com
サンバとボサノバだけじゃない。あふれんばかりに豊かで多様性に満ちたブラジル音楽の世界に、ミカ・カウリスマキが飛び込む。12年以上かけて慣れ親しんだ国であるブラジルで、カウリスマキは4,000キロにおよぶ旅に出た。土地ごとに、庶民がつどう場所で、驚くほど多様な音楽スタイルを実践するミュージシャンや歌手やダンサーたちに出会うために。初の本格的ドキュメンタリー映画である本作で、カウリスマキはこれらの音楽家たちに、驚異的なリズムと歌詞という自分たちの言葉で自らを表現する機会を与えている。歌詞には字幕がついているため、観客は彼らに近づくことができる。
【監督のことば】私が初めてブラジルを訪れたのは1988年、自作『ヘルシンキ・ナポリ/オールナイトロング』がリオ・フィルム・フェスティバルに招待された時だった。本当は1週間の滞在予定だったが、ブラジルの地を踏んだとたんに気が変わり、アマゾン流域を中心に、全土を旅行することにした。1989年、『アマゾン』を撮り終えた時から、ブラジルは私にとって第二の故郷となった。ブラジルは、きわめて“映画的(シネマトグラフィカル)”な国、いや、大陸だ。
この映画を撮るにあたって一番難しかったのは、多様な音楽の中で、どのリズムを、どのミュージシャンを、どの伝統を紹介するかということだった。ブラジル全土を幾度か旅した後、北東の地域――ペルナンブコとバヒア――と、リオ・デ・ジャネイロに集中することに決めた。さらに、直接出会った人の中で、私が一番好きな人たちだけを見せる個人的な映画にすることも決めた。ナレーターが私なのは、このためだ。ただし、この映画はそれだけではなく、さまざまな土着の起源をもつリズムや伝統も物語の一部をなしている。ブラジルで最初に歌い、踊った人々であるインディアンから始めて、ポルトガル、そして次にはアフリカと、異国からの文化が持ち込まれた後に、音楽がどのような変貌をとげたかをたどり、さらに今日の様子を伝えるというのが、私の基本的な考えだった。この映画の中心にあるのはブラジル音楽のルーツ。だから、“有名人”たちはほとんど出ていない。
私は自分のことを長編劇映画の監督だと考えているが、ドキュメンタリーはいつも前向きな経験となった。ドキュメンタリーを撮ることは、なぜだか、自分にとってより“勉強”になる。撮影しながら映画の“脚本を書く”のだから。劇映画とドキュメンタリーと、両方とも面白いジャンルだが、私の劇映画にはドキュメンタリー的要素がふんだんに盛り込まれていると言っておかなくてはならないだろう。私の劇映画は現実の出来事をベースにしており、ロケ撮影をしているか、現実に影響されている。私はこういった映画作家なのだ。
ミカ・カウリスマキ 1955年、フィンランド、オリマティラ生まれ。ミュンヘンの映画学校卒業後、監督、プロデューサー、作家として活躍。1981年、弟アキと製作・配給会社を設立する。主な監督作に『ヘルシンキ・ナポリ/オールナイトロング』(1987)、『アマゾン』(1991)、フィンランド映画賞監督賞を受賞した『Zombie and the Ghost Train』(1991)、サミュエル・フラー、ジム・ジャームッシュと製作したドキュメンタリー『ティグレロ』(1994)、『コンディション・レッド/禁断のプリズン』(1995)、「アート・オブ・エロス 監督たちの晩餐」シリーズの一編『狂熱の白日夢』(1996)、『GO! GO! L.A.』(1998)、『Highway Society』(1999)など。プロデューサーとしてアキの作品『罪と罰』(1983)、『パラダイスの夕暮れ』(1986)などに参加している。アキとミッドナイト・サン映画祭を創設。製作会社「マリアナ・フィルム・オイ」の経営者でもある。 |
●特別招待作品|DV2 | モロ・ノ・ブラジル | ナンバー・ゼロ |〈追悼:前田勝弘〉公害原論1974、自由光州 ―1980年5月― | 1000年刻みの日時計 ― 牧野村物語 |