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子のない母

Um Ghayeb: Mother of the Unborn

- エジプト、アラブ首長国連邦/2014/アラビア語/カラー/Blu-ray/84分

監督:ナディーン・サリーブ
撮影:サーラ・ヤヒヤ
編集:マイケル・ユーセフ
音響:アブデルラハマーン・マフムード
製作:マージャ・アルダース
提供:Hassala Films

エジプト南部の墓守が集う村で“Um Ghayeb”(不在の息子の母)と呼ばれるハナーンは、子を授かるため、呪術から外科手術まであらゆる治療を試みている。共同体のなかで自身の存在理由を模索する彼女の死生観は、ジェンダー的視点のみならず、大地に根ざして生きることの意味を見る者に問いかける。



-【監督のことば】上エジプトの物語は隠れた宝だ。そのほとんどが死と誕生を語っている。地域全体が大きなおとぎ話のようだが、大地はとても薄いため、少しでもひっかけば生命の精髄があふれ出してくる。Um Ghayeb(不在の息子の母)は、存在しない子を待つ。身籠るのを待つ。しかし私にとって、「生まれていない」のは彼女の失われたアイデンティティだ。私たちはなぜこの地に生まれ、何になるために生きるのか。そして、その問いも結局は無意味だ。いずれ死がやってきて扉を叩くのだから。


- ナディーン・サリーブ

1984年エジプト生まれ。2012年に監督した『Fagr』は、バグダッド国際映画祭アラブ女性映画作家コンペティションで優秀賞、エジプトのゲーテ・インディペンデント映画祭で最優秀賞を獲得。本作は2014年のアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭でプレミア上映され、ピーター・ウィントニック審査員特別新人賞を受賞。またアブダビ映画祭ではFIPRESCIの最優秀ドキュメンタリー賞を獲得した。