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アジア千波万波 特別招待作品[香港]

革命まで

Almost a Revolution
幾乎是,革命

- 香港/2015/広東語/カラー/Blu-ray/174分

監督、脚本:郭達俊(クォック・タッチュン)、江瓊珠(コン・キンチュー)
撮影、編集、録音、提供:郭達俊

香港で民主的な選挙を求め不服従を呼びかけた「セントラル(金融中心街)を占拠せよ」運動は、思いを同じくする多くの学生や市民を巻き込み、その動きは2014年、「雨傘革命」として世界に広く知られるところとなった。本作は、運動内での議論、路上アピール、市民投票、学生らが主体となった政府庁舎前での抗議など、闘いの現場をつぶさに追い、渦中にいた7人の活動家たちの揺れ動く思いを見つめていく。



【監督のことば】「革命」と呼ぶ人もいれば「大袈裟だ」と思う人もいる。「革命」の定義についての議論に結論はない。しかし民主主義を求めた香港の人々のこの闘いが、歴史的な出来事であることに疑いの余地はない。ドキュメンタリー作家として、自分が構えるカメラのすぐ前で展開する出来事が、まさに歴史そのものなのだと気づいた時、複雑な気持ちがこみ上げてきた。二人だけのチームでこの出来事を詳細に記録するのは限界があり、困難を極めた。それでもこの作品が、香港に真の民主主義をもたらそうとする人々をとらえ、今後の議論に貢献できることを祈っている。

郭達俊(クォック・タッチュン)

 「雨傘運動」が社会に与えた衝撃は、徐々に日常生活から薄れてきている。しかし私の脳裏には未だに劇的な場面が浮かんでくる。悲しい場面もあり、歓喜に満ちた場面もあった。この映画プロジェクトに関わっていなかったら、「雨傘運動」の受け止め方は変わっていたかもしれない。私にとってドキュメンタリー映画を制作することは、コミュニケーションと発見をしていく過程だ。活動家と話をし、その話を聞くことによって、この運動の複雑さと、その原動力について学ぶことができた。だからこそ「雨傘運動」の中で起きた衝突や決定の揺らぎをより深く理解し、受け止めることができたのだった。ドキュメンタリーとは、未来のための記憶でもある。私は、自分たちの時代を記憶に留めておく必要のある年齢になった。この作品が、79日間におよんだ占拠のなかで満ちあふれていた希望、香港で真の民主主義を達成するための長い道のりの、痕跡となることを願っている。

江瓊珠(コン・キンチュー)


- (右から)
郭達俊(クォック・タッチュン)
江瓊珠(コン・キンチュー)

郭達俊は香港や海外の公共テレビ局で、ドキュメンタリー番組やインディペンデント作品の制作に携わってきた。インディペンデント映画作家として様々なテーマを扱い、表現方法も多様である。天安門事件と香港返還に関する作品プロデュースも手がけた。本作もまた、香港の近代史における重大な社会的事件をとらえた作品である。

江瓊珠は元新聞記者で、現在は本の虫兼ライター、そしてコミュニティの中で映画を作っている。2004年に、香港のセックスワーカーを題材にしたドキュドラマで監督デビュー。以降、運動や活動家についての映画を制作し続けている。