english
インターナショナル・コンペティション

S21 クメール・ルージュの虐殺者たち

S21, the Khmer Rouge Killing Machine
S21, la machine de mort Khmère rouge

- フランス/2002/カンボジア語/カラー/ビデオ/101分

監督、脚本:リティー・パニュ
撮影:プラム・メサール、リティー・パニュ
編集:マリ=クリスティーヌ・ルージェリー、イザベル・ルディー
録音:シア・ヴィサール 音楽:マーク・マーデル
製作:カティ・クト− 製作会社:INA、Arte France
提供:INA 配給:MK2
MK2
55 rue Traversière, 75012 Paris FRANCE
Phone: 33-1-44-67-30-00 Fax: 33-1-43-07-29-63
E-mail: or.veillon@mk2.com

かつての政治犯収容所「S21」。クメール・ルージュの大虐殺による加害者と被害者をその場所に集め、非人間的で過酷な日々を再現していく。証言で明らかになる真実の数々、対峙する2人のやりとりの迫真性が25年という時を越える。カンボジア生まれである監督の、故国への想いが静かに脈打つ。



【監督のことば】カンボジアのクメール・ルージュ政権下では、「S21」は主な“公安局”だった。プノンペンの中心に位置するこの収容所では、1975年から79年にかけて、1万7千もの囚人が拷問や尋問を受け、処刑されていった。生き残っているのはたった3人である。

 この映画は、民主カンプチア共産党がどう編成され、政策である組織的排除をどう実施していったかを探る試みである。

 3年ほど、私たちはわずかな脱獄者だけでなく、拷問をしていた側のことも調査した。そして両者を「S21」がかつて存在した、今は虐殺博物館となっている実際の現場へおもむかせ、証言に立ち会わせた。

 主格、つまり起こったことに対して真に責任をとる立場にいる人たちは、いかなる責任をも否定し続けている。彼らはこの映画のプロセスには関心を示していない。

 言葉では、そこで起こったことを十分に言い尽くせない。入念に計画された殺人、そのための虐殺者たちの容赦ない精細な動きは、私たちの理解を越えている。良心ではそれを理解することができず、今日言い伝えることのできないものに言葉を散りばめているだけのようだ。しかし証拠は残る――写真、アーカイヴ、場所――それらが過去から言葉を呼び戻している。また、身体の奥底に葬られた記憶があり、無意識からジェスチャーや決まりきった動作などが呼び起こされることもある、まるで悪夢のように。

 この作品の特異性は、二者の対峙にある。理解することで事実を伝え、次世代を守ろうとする決意がある、逃亡した人々。そして自らが寄与していた恐怖を追体験し、呆然とした様子の看守たちの言葉。

 犠牲者たちの元に彼らの運命や記憶を返却するため、語られなければならないことがある。語られることで、過去の回想が現在の構築の一助となるのかもしれない。


- リティー・パニュ

プノンペン生まれ。フランス国立映画学院(IDHEC)卒業。ドキュメンタリー及び劇映画を多数製作。作品歴にアミアン国際映画祭グランプリ受賞作品『Site II』(1989)、『"NEAK SRE" Les Gens de la Rizière』(1994)と『戦争の後の美しい夕べ』(1996-97)の2本はカンヌ国際映画祭に出品、後者は1998年の東京国際映画祭でも上映。その他に『Bophana, une tragédie cambodgienne』(1996)、YIDFF 2001でロバート&フランシス・フラハティ賞を受賞した『さすらう者たちの地』(2000)は多くの国際映画祭で賞を獲得。本作もまた2003年のカンヌ国際映画祭で上映され話題をよんだ。現在『Le peuple d'Angkor』を製作中。


インターナショナル・コンペティション | 神聖なる真実の儀式 | フラッシュバック | 時の愛撫 | 生命(いのち) | 天使狩り ― 預言者詩人の四つの情熱 | 炎のジプシーバンド | ヒトラーのハイウェイ | ウイ・ノン | 純粋なるもの | レイムンド | S21 クメール・ルージュの虐殺者たち | 羊飼いのバラード | スティーヴィ | 鉄西区 | 西へ審査員 | アラン・ベルガラ | クリスティン・チョイ | アミール・ナデリ | アナンド・パトワルダン | 高嶺剛