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インターナショナル・コンペティション

ヒトラーのハイウェイ

On Hitler's Highway

- フランス/2002/ポーランド語、ロマニー語、トルコ語、ウクライナ語、ドイツ語、英語/カラー/ビデオ/81分

監督、撮影、編集、ナレーター:レック・コワルスキー
録音:XYZ 音楽:サル・ベルナルディー
製作:ブランシュ・ギシュ− 
製作会社、提供:アジェット・フィルム&シー
配給:ドック・アンド・コー
Doc & Co
13, rue Portefoin, 75003 Paris FRANCE
Phone: 33-1-42-77-56-87 Fax: 33-1-42-72-64-82

ポーランドにある最も古いハイウェイ。それはヒトラーが物資運搬や収容所へユダヤ人のみならず多くのジプシーやポーランド人を運ぶためにつくったものだった。今ではブルガリアからの売春婦や物売りたちが居並ぶ沿道を旅しながら、監督はヒトラーの痕跡を新たな視点からカメラに切り取っていく。



【監督のことば】『ヒトラーのハイウェイ』を製作しながら、私は自分がこの映画のどこに位置するかを問うてみた。スクリーン上に映し出されるもの以外、説明の必要があるのだろうか? ストーリーの文脈に対して、どう対峙すればよいのか? 撮影された文化圏の外側の人に向けて、どうやってこの物語を内側の経験にしていけるのか? これらを自問することでおのずと分かったことは、私自身がその答えなのだということ。すき間を埋めたり、問題に答えを見いだしていくのが、私の義務なのだと。文化間の障壁は映画という言語を使って越えなければならない。ドキュメンタリー映画に宿る虚構とは、それが真実を映す、という点にある。ドキュメンタリーの中で唯一リアルであるのは、撮影の瞬間だけなのだ。それが終わった後の過程は、すべてフィクションになる。もしこの考え方が理解されるとしたら、それは映画作家にとっては大変解放的と言えるだろう。以下は私が出版した日記の中からの抜粋で、撮影中に書かれたものである。

「この映画は、2つのダイナミクスに決定づけられているようだ。ひとつは旅の持つ前向きの勢いで、新しいものや場所の発見、新しい人との出会い、人生の奇妙な出来事などが常に映画を魅力的なものにしている。もうひとつは、歴史や国家そして人々の人生に関する情報だ。さらに私が物語に形式を加える。そして、これらが交じり合って、うまくいけば興味深い作品を生み出す。また、これらが重なり合うことで、最終的には映画を超える何かになってほしいとも思っている。私は常に観客の視点から場面を見続ける。撮影する時には、シーンから自分という個人を外すようにしている。私は純粋に直感で動く。つまり、何かが起きた時、私はそれをすばやく分析して、どう撮ろうか考える。心の中で瞬時に判断し、スタイルを崩さずに、またちょっと変わったことを見つけ、撮る方法を編み出す。しかし物語の前向きの勢いというのは、自然なものではない。私はこの幻想を作り出さなければならない。」


- レック・コワルスキー

ロンドン生まれ、幼少の頃アメリカに移住。『Sex Stars』(1977)をはじめとし、日本でも公開された『D.O.A.』(1981)、『グリンゴ』(1985)、その他サンフランシスコ国際映画祭ゴールデンゲート賞受賞作『Rock Soup』(1991)など監督作は多数。そのすべての作品が世界各地の国際映画祭で上映、何本かは劇場公開もされた。1998年、パリに移住。東欧をテーマにした三部作「My Wild Wild East」の第1作『The Boot Factory』(2000)はフランスの2002年SCAM最優秀ドキュメンタリー賞、2作目の本作はアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で審査員特別賞とイタリアのインフィニティ映画祭、ニュー・ビジョン・プライズを受賞。3作目『East of Paradise』を製作中。近作に『Born to Lose』(2001)、『Hey Is Dee Dee Home』(2003)など。


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