刑法175条
Paragraph 175-
アメリカ/1999/英語、ドイツ語、フランス語/カラー/35mm (1:1.85) /81分
監督・製作:ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン
脚本:シャロン・ウッド
撮影:バーンド・マイナーズ
編集:ドーウン・ログスドン
録音:パスカル・キャピタリア
音楽:ティボル・セメズー
ナレーター:ルパート・エヴェレット
調査・アソシエートプロデューサー:クラウス・ミュラー
製作:ジャネット・コール、マイケル・エレンズヴァイグ
共同製作:ハワード・ロゼンマン
製作会社・提供:テリング・ピクチャーズ
配給:フィルム・トランジット・インターナショナル
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ナチスによる迫害が、ユダヤ人だけではなく同性愛者にもおよんでいたことはあまり知られていない。この映画は同性愛者を差別するドイツの“刑法175条”によって迫害を受けたゲイ男性たちとひとりのレズビアンについて、歴史に隠された一面を聞き出している。ハインツは強制収容所での体験を告白し、フランス人ピエールは自分のボーイフレンドが虐殺されるのを目撃し、ユダヤ人のガドは地下抵抗組織の指導者としての経験を語る。
【監督のことば】アメリカユダヤ委員会が1993年に行った調査によれば、ナチスが同性愛男性を見分けるための印としてピンクトライアングルを着けさせていたということはおろか、ナチス政権のもとでゲイが弾圧されていたことすら、知っているのはイギリスでは成人の約半数、アメリカではわずか4 分の1 だという。『刑法175条』では、これまで映画で扱われたことがなく、歴史の本ですらめったに言及しようとしなかった歴史に斬り込んでいった。何万人もの人々が迫害され殺害されたというのに、なぜ記録から抹殺され続けてきたのか?
私たちがこの問題に関心をいだいたのは、まずは私たち自身がゲイ男性でありユダヤ人でもあるから。私たちにとって、当時についての証言ができる人たちが生きている間にできる限りの記録を残しておくことは、切迫した必要性のあることだった。また、映画作家の立場からいえば、このテーマの曖昧さに魅かれた。虐待される同性愛者、同性愛のレジスタンス闘士、同性愛のナチス及びシンパが同時に存在していたのだ。また、ナチスは一貫して同性愛者を迫害していたが、一方で敵陣からは、ひとりのナチス高官が同性愛者であることを理由にナチス全体が同性愛の巣窟だというプロパガンダを流されてもいたのである。
ナチスの迫害から逃れたゲイはかなりの数にのぼったが、彼らはどうやって生き延びたのだろうか? 英雄と悪人の境目は何なのか? そして、どうして私たちは人間の経験にグレーゾーンがあることに不安になるのだろうか?
ロブ・エプスタイン& ジェフリー・フリードマン アカデミ−賞2回、エミー賞数回、ピーボディ賞3回など錚々たる受賞歴にを持つ。ドキュメンタリー『ハーヴェイ・ミルク』(1984)でエプスタインがオスカーを受賞したのは1985年。1987年、2人はテリング・ピクチャーズを設立。初の共同プロデュース&監督作『Common Threads: Stories from the Quilt』を発表。1990年度オスカー最優秀ドキュメンタリー賞をはじめ数々の賞を受賞。ハリウッドの歴史を描いた『セルロイド・クローゼット』(1995)は世界各地で劇場公開およびテレビ放映された。彼らの他の作品としては『Where Are We? (Our Trip through America)』(1991)、『Xtreme: Sports to Die for』(1999)など。 |