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ドンキー・ホーテ

Donkeyote

- スペイン、ドイツ、イギリス/2017/ スペイン語/カラー/DCP/86分

監督:チコ・ペレイラ
脚本:チコ・ペレイラ、マヌエル・ペレイラ、 ガブリエル・モレラ
撮影:ジュリアン・シュバーニッツ
編集:ニック・ギボン
録音:マーク・デアス
製作:イングマール・トロスト、 ソニア・ヘンリッチ
製作主任:マヌエル・ペレイラ
配給:Scottish Documentary Institute

南スペインの自然豊かな村で質素な生活を送っていたマヌエルは、73歳にして残りの人生を賭けた壮大な旅への出立を決意する。愛するロバと犬を相棒に、スペインからアメリカへ。かつてチェロキー・インディアンが辿った3,500キロにおよぶ「涙の旅路」を踏破するのが目的だ。心臓疾患、関節炎、老いが蝕む体の痛みも何のその、医者の制止すら振り切って、過酷な冒険は続く。旅の過程で育まれる動物たちとの種族を超えた友情。果たして彼らはアメリカに辿り着けるのか? 老いてなお自由に、「ありのまま」を生きる姿を讃えるロードムービー。



【監督のことば】マノロ(マヌエル)は昔から私のあこがれだった。彼は私の叔父であり、名付け親でもある。子どもだった私や他の甥たちを、よく田舎での「冒険」に連れていってくれた。冒険の中身は、野生動物との出会いや、田舎にまつわる面白い話、あるいは未知の場所に行くことだ。今から思えば、たわいもない遊びだったかもしれない。ただ彼のおかげで、それは夢のような時間になっていた。私たちはみな、マノロという人間に魅了されていた。ときには朝の8時から家の外に出てマノロがやって来るのを待ち、一緒に連れていってくれと懇願したこともある。しかしある日、マノロは叔母と離婚した。その後、ふたつの家族の交流は完全に断たれてしまう。マノロとは疎遠になったまま、長い年月が流れた。マノロとの関係は子ども時代に終わりを告げ、そのまま思い出のなかに閉じ込められていた。

 2012年のクリスマスの日、私は久しぶりにマノロを訪ねた。アメリカに行く前に、どうしても会いたいと思ったからだ。目の前にいたのは、昔と変わらないマノロだった。小さな目に大きな耳、低い声。そして相変わらずアメリカの帽子を愛用している。しかし、何かが変わっていた。心臓発作を二度患ったマノロは、新しい親友である美しいアンダルシアロバのゴリオン(スズメという意味だ)と一緒に、ひたすら歩いていた。

 私たちは何時間も話し、これからは絶対に疎遠にならないようにしようと約束した。関係が断たれたまさにその瞬間に戻り、そこから関係を復活させたかった。

 この映画は、一度断たれた関係が復活する物語であり、同時にふたりにとって最大の冒険の物語でもある。そして映画とは、何と壮大なファンタジーであることか!


- チコ・ペレイラ

1979年スペインのアルマデンに生まれる。短編の劇映画で何度か賞を獲得した後、ドキュメンタリーに転身。実在の人物に触発され、彼らを主人公にした物語を独自のミニマリスト的手法で描く。エディンバラ・ネイピア大学での美術学修士研究の一環として、フィクションとドキュメンタリーの手法を組み合わせた映画の製作を始める。卒業制作であり、長編デビュー作でもある『Pablo's Winter』(2012)は広く賞賛され、DOKライプツィヒ、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭、フルフレーム・ドキュメンタリー映画祭で賞を獲得。2013年ニューヨーク近代美術館ドキュメンタリー・フォートナイトのオープニング作品にも選ばれた。それに続き、スコットランドの漁船で働くフィリピン人漁師を描いた短編ドキュメンタリー『Polaris』(2012)を監督。ラカイシャ財団の奨学金を得てカリフォルニア大学サンタクルーズ校で学び、社会人類学、映画民俗学の博士号を取得予定。本作が二作目の長編ドキュメンタリーになる。