フィルムのなかのやまがた
今年、山形市役所の地下倉庫から広報映画が発見されたことをきっかけに、山形市内での巡回上映を行なった。一部の作品はコダクロームというカラー・リバーサル・フィルムで撮影されており、現在も鮮やかな色を残している。一方、8ミリ愛好家の清瀧(きよたき)章氏の作品群は、鉄道マンであった清瀧氏ならではの映像で、今はなき三山線や高畠線がさまざまな角度から収められている。今回は、清瀧氏によるテレシネ版で上映する。スクリーンに映し出された映像は、遠い記憶を蘇らせ、改めて「いま、この場所」を感じさせてくれる。フィルムに焼付けられた、「ちょっと昔のやまがた」を堪能していただきたい。
山形市広報ニュース No.1
Yamagata City Newsreel No. 1- 1959/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:16mm)/9分
製作、提供:山形市
蔵王上の台ゲレンデでのスキーカーニバルの様子に続き、スキーブームの火付け役トニー・ザイラーが蔵王に登場し、華麗な滑りを見せる。伊勢湾台風が山形市内に及ぼした甚大な被害の様子のほか、全国高校体育大会・仁井田(にちだ)地区でのかかし祭や農業祭の模様などを次々と伝えている。
山形市広報ニュース No.2
Yamagata City Newsreel No. 2- 製作年不明/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:16mm)/11分
製作、提供:山形市
市議会議員選挙と議会開催、ハウスきゅうりの温床栽培、神町(じんまち)自衛隊の大掛かりな水防訓練、おかあさん野外コーラス会などの様子。また「レンズの眼」というタイトルで、衛生モデル地区・山寺の住民による清掃運動(ぼうふら退治、消毒、簡易水道工事)に焦点を当てている。
山形市広報ニュース No.3
Yamagata City Newsreel No. 3- 1960/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:16mm)/11分
製作、提供:山形市
結核とレントゲン車こまくさ号の“闘い”を伝える「お金のかかる長い病気」。昭和天皇が訪問した蔵王大森山植樹祭と緑化運動。「おかあちゃんのオーケストラ」は、食事を作るとき、洗濯物を干すとき、井戸端会議のときも歌や演奏を練習する女性たちの姿を伝える。
YIDFF 2013 オープニング作品
山形市広報ニュース No.4
Yamagata City Newsreel No. 4- 1961/日本語/モノクロ/16mm/13分
製作、提供:山形市
仙山線の山形―山寺間の電化工事が終了し、電化第1号の列車が誇らしげに線路を走る。山形市本沢の赤禿山のぶどう収穫の様子。オーストリア国立スキー学校長を迎えての、蔵王でのスキースクールは、ダンス・パーティにも余念がない。大曽根地区滝平分校の厳しい冬を少年のナレーションが語る。
山形市広報ニュース No.5
Yamagata City Newsreel No. 5- 製作年不明/日本語/モノクロ/ ビデオ(原版:16mm)/11分
製作、提供:山形市
環境衛生課によるゴミ集め。公園や川にもあふれるゴミを減らす工夫とは? 成人を対象とした学びの場。歌や踊りを習う民謡やフォークダンスの学級、婦人会での料理教室が紹介される。高原の開拓地での大根やニンジンの種まき。15年に及ぶ開拓は、戦後の食糧事情を賄うために行われた。
山形市広報ニュース No.6
Yamagata City Newsreel No. 6- 製作年不明/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:16mm)/14分
製作、提供:山形市
昭和30年代に入り飛躍的に広がる給食を取り上げた「みんなでおいしく学校給食」。黒帯や東京五輪出場をめざす青年たちが猛練習に励む「柔道の寒稽古・少年姿三四郎」。このほか、「江俣・千歳・出羽地区の水田土地改良事業」「金井地区・花の温室」「赤信号の道路交通」を収録。
山形市広報ニュース No.7
Yamagata City Newsreel No. 7- 1962/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:16mm)/11分
製作、提供:山形市
観光資源として注目される蔵王。昭和37(1962)年に山形と宮城を結ぶエコーラインが開通。冬の様相を見せ始めた11月の山岳道路を多くの車が往来する。そして、蔵王ロープウェイも完成。セレモニーでは天狗の面を被った山伏たちがロープウェイに乗り込んだ。欧米諸国に比べて遅れていた日本の下水道建設。山形市では昭和31(1956)年から約15年の計画で建設工事が始まった。
YIDFF 2013 オープニング作品
重要文化財 根本中堂 ― 解体修理工事の記録
Restoration of the Konpon Chudo Temple- 1963/日本語/モノクロ/16mm/12分
製作、提供:山形市
本年、50年に一度のご開帳が行われた、国指定重要文化財の宝珠山立石寺根本中堂。解体修理工事により、火災や改修の跡が明らかになった。地元の人々によるダイナミックな仏像の遷座は、地域に密着した信仰と、時代のおおらかさの成せる光景であろうか。
県政ニュース 新しい町・新しい村
Prefectural News: New Cities, New Towns- 1956年頃/日本語/モノクロ/ ビデオ(原版:16mm)/18分
製作、提供:山形県
昭和30年代初頭、山形県内223の市町村の合併が進み49となる。朝日山麓に抱かれ、最上の流れを有する新「朝日町」もそのひとつ。面積の8割が山であるこの地域の、様々な年代の住民の生活の変化を通して、新しい町づくりの様子を追う。
のびゆく山形
A Greater Yamagata- 1959年頃/日本語/カラー/ビデオ(原版:16mm)/北部編26分、南部編16分
製作、提供:山形市
昭和29(1954)年から31(1956)年にかけて、山形市周辺の村が次々に山形市に編入され、「大山形誕生」として歓迎された。この映画では、新たに「山形市」となった地域の豊かな文化や産業を紹介している。
私たちの施設
Our Institutions and Facilities- 製作年不明/日本語/カラー/ビデオ(原版:16mm)/28分
製作、提供:山形市
市営住宅、水道設備、ごみ処理施設、屠場、病院、児童養護施設など、山形市営の施設を紹介。現在は山形市郷土館として公開されている、山形市立病院済生館の青く美しい姿が映し出されている。製作年は不明だが、昭和30年代後半と思われる。
笹谷トンネル
Sasaya Tunnel- 1960年頃/日本語/カラー/ビデオ(原版16mm)/12分
製作:笹谷ずい道開さく期成同盟会
山形―仙台間の最短路線である笹谷街道は、険しい峠道であった。宮城県の塩釜港(太平洋)と山形県の酒田港(日本海)を結ぶ交易路として、青根温泉、峩々温泉を巡る「夢のようなドライブ・コース」をもたらす笹谷トンネルに対する大きな期待が描かれている。
開けゆく峠路
A New Mountain Route- 1964/日本語/モノクロ/ ビデオ(原版16mm)/14分
「陸の孤島」と呼ばれた山形の発展を阻む笹谷峠に穴をあけようと、昭和30(1955)年頃から計画されていた笹谷トンネル。険しい笹谷峠とともに生きてきた山形市関沢の集落の人々の声を通して、『笹谷トンネル』同様、完成への期待が描かれている。