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B. 悠久の時間、風景が語るもの



老人と大河

Old Man River

インド(アッサム州)/2012/英語、アッサム語、ミシン語/カラー/DCP/52分

監督、脚本、撮影:ゴータム・ボラ
編集、グラフィック:ビカシ・ダッタ
プロデューサー:ラジーヴ・メロートラ
製作:公共サービス放送トラスト、インド情報放送省映画局
提供:ゴータム・ボラ

川の流れのように……。クラク・ペグ老人の100歳を超える人生は、ブラフマプトラの大河と命運を共に歩んできた。中州や岸辺の草地で牛と水牛を放牧し、水がはけた季節に肥沃な土地で作物を耕し、子や孫ら大家族を養ってきた。豪雨、洪水や川岸の浸食に遭っても、大河は生命をもたらし、生命を奪う存在であることを受け入れてきた。政府の河岸対策も効果を見せない。この世の力で自然は支配できない、と老人は言う。そして近年はとみに気候変動が予測不可能なのだ。牛の群れが濁流のなか、草地のある岸まで何時間も泳ぐシーンが圧巻。



田畑が憶えている

What the Fields Remember

インド(アッサム州)/2012/ベンガル語、英語/カラー/DCP/52分

監督、脚本:スバスリ・クリシュナン
撮影、編集::アミット・マハンティ
製作:ラジーヴ・メロートラ
提供:スバスリ・クリシュナン

1983年2月18日の午前9時から午後3時の間、アッサム州の町ネリーと、近隣の村々で2千人以上もの人が殺された。彼らはベンガル語を母語とするイスラム教徒だった。人家は焼き払われ、田畑はつぶされた。亡くなった人の多くは老人、女性、子どもだった。ネリー事件は今日にいたるまでインド正史の余白に押しやられ、国家的記憶からほぼ消されている。この映画はその30年後に事件を再考する。生存者たちの証言は、喪失の哀しみと癒されない記憶の痛みにあふれる。虐殺の現場であった田園風景を見つめ、脳裏に刻み込まれる記憶や歴史と向き合う。