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私映画から見えるもの
A
  • ピゼット(最後の年かもしれない)
  • 阿賀の記憶

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  • ムービング・ピクチャーズ
  • ザ・プレゼント

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  • 日々 "hibi" 13 full moons
  • ギャンブル、神々、LSD

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  • ははのははもまたそのははもその娘も
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  • ガールフレンド

  • E
  • 映像書簡10
  • 気ままなヤツ
  • 極私的に遂に古稀

  • F
  • パレード
  • 針間野
  • PROGRAM E 語り


     小型カメラや家庭用機材の普及で、映画づくりはペンを使った執筆のように身近になった。ひとりで作ったという「アリバイ」を一人称の語りで表す作品は多い。

     作者の一人称ナレーションは多くを語る。声質とテンポ、語り口とユーモア。作り手の自己像が垣間見えるから、人柄を気に入ってもらえれば内緒話を打ち明けるような近さに観客を引き込める。鈴木志郎康作品では臨場感あふれる鼻息まで迫ってくる。『映像書簡10』は連歌のようなふたりの旧友の字幕文字による「対話」が交差しあって胸に染み入る。『気ままなヤツ』のテキストは自分を嘲笑しながらも、どこか誠実なトーンを貫き、風の向くまま駆けめぐる想起に私たちを同行させてくれる。『極私的に遂に古稀』では「雑然とした庭が心の鏡になっている」というような比喩のひとつひとつが詩的であり私的で魅了される。

     年季の入った作者によるどこか軽妙なこの3作が、自意識過剰な若造には作れないことは確かだろう。



    - 映像書簡10

    Correspondence 10

    日本/2005/日本語/カラー/ビデオ/36分

    監督、提供:かわなかのぶひろ、萩原朔美
    編集:木村和代
    音楽:藤澤道雄 唄:渚ようこ
    協力:白尾一博

    1979年から映像による往復書簡を続けているふたりの10作目。身辺映像をやりとりする過程は、身体の老いや親しい者たちの死など、生命という共通テーマを立ち上らせた。

    - かわなかのぶひろ

    1941年生まれ。60年代前半より実験映画を手がける。イメージフォーラム設立メンバーのひとり。東京造形大学教授。『スイッチバック』(1976)、『映像書簡1〜9』(萩原朔美と共作:1979-2003)、『酔中日記』(2004)。



    - 萩原朔美

    1946年生まれ。映像作家、演出家、エッセイスト。60年代後半より演劇、実験映画、ビデオアート、執筆活動等の分野で創作を開始。多摩美術大学教授。『TIME』(1971)、『KIRI』(1972)、『2月20日』(1988)、『クローズド・グラス』(1991)。



    気ままなヤツ

    Lucky Jack--Three Attempts to Stop Smoking
    Hans im Glück--drei Versuche, das Rauchen loszuwerden

    - スイス/2003/ドイツ語、スイス・ドイツ語/カラー/35mm/90分

    監督、脚本、撮影、製作:ピーター・リエヒティ
    編集:タニア・シュトックリン 録音:ディーター・レンガッハー
    音楽:ノーベルト・ムースラング、ヴォイス・クラック、フレディー・シュトゥダー
    製作会社:リエヒティ・フィルムプロダクション、スイス・テレビ DRS
    提供:スイス・フィルムズ

    煙草をやめようと3度の徒歩旅行に出る作者。ニコチンを絶つ旅は自己への内省、自分史の探究、スイスという土地の再発見として作品化されていく。

    - ピーター・リエヒティ

    1951年、ザンクト・ガレン生まれ。チューリッヒ在住。1984年より実験映画やエッセー映画、ナム・ジュン・パイクとのコラボレーションなど映像製作に従事。ライター、監督、カメラマン、プロデューサーとして活躍。



    - 極私的に遂に古稀

    After All, I'm 70 Years Old

    日本/2005/日本語/カラー/ビデオ/35分

    監督、撮影、編集、提供:鈴木志郎康
    音楽:見木久ヲ
    出演:鈴木志郎康、鈴木麻理、穐田祐樹、野上絹代、山本遊子(声)、多摩美演劇公演「自来也」出演キャスト

    70歳になろうという作者が、肉体の衰えを自覚し体操を始めた。日々、庭の草花を慈しみ、意識の活性化に到る。日本の私映画の草分け的作家が2004年を振り返る最新作。

    - 鈴木志郎康

    1935年、東京生まれ。1952年頃から詩を書き始める。1961年から77年までNHKに16mmカメラマンとして勤務。詩集は22冊、映画は1966年に始めた個人映画を含め47本に及ぶ。

     



    ■スイス・フィルムズ

    スイス・フィルムズはスイス映画の振興、また映画産業と文化活動の融合を積極的に行い、国内外において最新のインディペンデント映画、及びスイスの視聴覚文化の伝統保持を促進している。スイスのプロデューサーや監督の作品プロモーションを支え、スイスの映画製作のイメージを育み、スイス映画の新作とスイス映画産業の発展に関する情報を提供している。また、スイス映画の基本データをあつめ、国外における上映を促進するようプリントの保存に務めている。

    URL: http://www.swissfilms.ch/(フランス語、英語)


    ■スイス・プロ・ヘルヴェティア文化財団

    スイス・プロ・ヘルヴェティア文化財団は、スイス連邦政府より予算を得て活動する公的な国際文化交流機関。国内外における多様なスイスの文化事業をサポートし、スイスと海外のアーティスト及び組織間の長期的ネットワーク形成を促進する活動をしている。駐日スイス大使館や日本でのパートナーと共に、文化プログラム「0406スイス・コンテンポラリー・アート・イン・ジャパン」を展開。2004年10月から2006年秋にかけ、幅広い分野のスイス現代芸術(映画、絵画、写真、音楽、演劇、ダンス、文学、デザイン、コミック、ウェブ・デザインなど)を日本に向けて紹介する多数のイベントを開催する予定。

    詳細はこちら:URL: http://www.dynamic-switzerland.jp/jpn/(日本語)