インターネット・アクティヴィズム
2003年は1968年と同様に戦争に対して大きな抵抗が噴出し、今春には反戦デモが世界各地で同日に実行されるなど、前代未聞な出来事が起こった。インターネットを通して世界レベルで個人から個人へ瞬時に流れたメッセージと映像が及ぼしていることは疑いの余地がないだろう。配信されている映像のいくつかを例にイメージを検証し、ますます混迷していく現代社会におけるドキュメンタリー、映画、映像の役割の限界と可能性を考察したい。
ネットでの映像配信を通して見えてきたもの
プレゼンター:小林アツシ(ビデオアクト)
自主ビデオの普及をめざすビデオアクトでは、2001年9月11日の事件以降「反戦」を掲げてインターネットでの映像配信を行ってきた。これまでには不可能だった自主メディア映像による速報を継続。この2年間で撮影に関わったスタッフは18名、特にこの春には3月から4月の2カ月だけで25本、118分に及ぶ映像を配信した。また、「戦争」をテーマにした3分間の映像作品を募集して無審査で一挙に上映する『ニッポン・戦争・私』というコラボレーションも行ってきた。それらの活動を続ける中で見えてきた問題点や課題、今後の展開方法などを他の国の事例や未公開映像なども紹介しながら探る。
私の湾岸戦争:左翼、右翼、あらゆる方面から
プレゼンター:阿部マーク・ノーネス
ニューズリールを見ると、反体制的なアクティヴィズムのこうした形態での登場が、小型の16mm装置の発明やその普及と同時に起きていることに気づく。アフガニスタン戦争と第二次湾岸戦争において、インターネットの時代がきたことは明白であるが、本プログラムは、ニューズリールや過去の運動の教訓からそうした現在の状況を照射する。「日米映画戦」(YIDFF '91)と「電影七変化」(YIDFF '95)の企画者であったノーネスが、2つの戦争におけるインターネット・アクティヴィズムの作品を、左右、中道を問わずに、分析する。
ニューズリール参考上映
蔵オビハチにて 開催日程:10月12日 21:30〜、15日 19:00〜
GREAT SOCIETY
- 17分/カラー/1967/提供:おおえまさのり
スタジオM2制作、おおえまさのり&マーヴィン・フィッシュマン監督作品。“黄金の60年代”を告げられたアメリカが、ケネディ大統領の暗殺から、サイケデリック世代の登場へ、そして泥沼化してゆくヴェトナム戦争へと突入してゆき、やがて世界が6様の水爆に溶解してゆく様を、1960年代アメリカのニュースフィルムをコラージュしながら描いた16mm映写機6台による、6面マルチスクリーン作品。
HEAD GAME
- 10分/カラー/1967/提供:おおえまさのり
ザ・サードワールド・スタジオ制作、おおえまさのり編集・監督作品。1960後半、アメリカでは、ハーバード大学心理学教授ティモシー・リアリーの登場と共に開示され、新しい精神の時代(ニューエイジ)の幕が切って降ろされようとしていた。1967年4月、ニューヨークのセントラルパークで開かれたサイケデリック(魂を開く)時代の夜明け――アレン・ギンズバーグ、フラワーチルドレン(ヒッピー、イッピー)の登場など――を告げる“BE-IN(存在の祝福)”の集い。そしてそれは反ヴェトナム戦争のシュプレヒコールをあげながら、国連までデモを繰り広げていった。
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