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  • アマル・カンワル
  • フェルナンド・ペレス
  • 審査員
    アマル・カンワル


    -●審査員のことば

     明らかにヤマガタには磁力がある。何度も何度も引き込まれる。10年に渡って4作品をコンペに(インターナショナル・コンペティションとアジア千波万波に)出品した私が、またヤマガタにいる。今度は審査員として。新作を発表する際の甘い不安感からは逃れられたが、新しく勝利者を選出するという難しい責務を負わされた。通常は避けたい重責だけれど、ヤマガタの場合、見送ることができない。ここでは映画の一作一作が傑出していて、どれもが愛情のこもった労作であり、時には人生さえをもつぎ込んでいるのだ、と長年に渡って間近に見てきた。幾度となく奇跡を目撃した。説明ができないもの、見ることができないもの、間にあるもの、隠されたもの、辺境のもの、沈黙……。毎年が妄執、洞察、美、そして卓越した技術の素晴らしいスペクトルである。勝者を選ぶというのは、幾つもの変数がかけ合わさった化学反応の結果でしかないので、コンペティションに選ばれることが最高賞だと考えた方がいい。そしてヤマガタを後にするとき、いつも思う。新作を作っていつかまたヤマガタで分かち合おう、と。


    アマル・カンワル

    1964年生まれ。居住地であるニューデリーで活動中。エドヴァルド・ムンク現代芸術賞(ノルウェー)受賞者であるカンワルは、インド亜大陸の政治・社会・経済・環境状況を、その詩的かつ思索的な映画で探究している。インド・パキスタン国境における暴力と非暴力の問題を検討した『外部の季節』(1997、YIDFF 1999)は、ムンバイ国際映画祭でゴールデン・コンチ賞を、サンフランシスコ国際映画祭でゴールデン・ゲート賞を受賞。『予言の夜』(2002、YIDFF 2003)は現代インドの詩歌を、『Torn First Pages』(2003−08)は現代ビルマ状況を探究。これまでに数々の映画祭で受賞してきた。またその映画作品は、アムステルダムのステデライク美術館、ニューヨーク近代美術館、オスロ国立美術館などで特別展示もされ、ドクメンタ11(2002)とドクメンタ12(2007)にも参加。『稲妻の証言』(2007)はYIDFF 2009で上映された。


    犯罪の現場

    The Scene of Crime

    - インド/2011/英語/カラー/Blu-ray(HD)/42分

    監督、脚本:アマル・カンワル
    撮影:ディリップ・ヴァルマ
    編集:サミーラー・ジャイン
    音響:スレッシュ・ラジャマニ
    提供:アマル・カンワル

    草原、川、風にそよぐ葦、自転車に乗る男、樹木、木の枝、草を食む馬、空を飛び交う鳥たち、夜の光、墓、牛、山羊たち、魚たち等々……。ダイアローグなく、インド、オリッサ州の映像が綴られていく傍らに随時挿入される字幕には、政府と企業の土地の接収に抗して行方不明になった男と、彼を探し求める女の物語が語られる。美しく力強い映像と簡潔な言葉による、あくまでもシンプルな構成により、作者の思いが色濃く浮かび上がってくる。