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    Armadillo

    - デンマーク/2010/デンマーク語、英語/カラー/35mm/101分

    監督、脚本:ヤヌス・メッツ
    撮影:ラース・スクレ
    編集:ペア・K・キルケゴール
    録音:ラスムス・ウィンタ・イェンセン
    製作:ロニー・フリッドョー、サラ・ストックマン
    製作会社:フリッドョー・フィルムズ
    配給:DR TV インターナショナル・セールズ www.drsales.dk

    アフガニスタンのPKO活動のために派兵されたデンマークの兵士たちに肉迫し、最前線基地アルマジロ・キャンプでの緊張感に満ちた日々を綴る。タリバンとの交戦もはらんだテンションの高い日常を過ごすうち、兵士たちは次第にアドレナリン中毒に陥っていく。テレビドラマ製作の経験もあるヤヌス・メッツ監督の、スピード感に満ちた語り口。兵士たちとともに銃撃戦の中でカメラを回し続け、兵士たちの興奮状態を浮かび上がらせる。



    【監督のことば】本作では、現代の最も大きな紛争のひとつにおいて、人と人とが交わる場というミクロなレベルが、どのような作用を及ぼすのかを探りたかった。戦場で政治がどう実践されるかということに。

     このプロジェクトのための初期の調査で、初めて若い兵士たちに会ったときに驚かされたのは、戦争を体験している若者の大半が戦場へ復帰したがっていた点だった。皆、暴力と血にまみれた体験をしているにも関わらず、戦闘について、そして仲間と培った強い絆と一体感について熱を込めて語るのである。戦争の熾烈さに比べ、自国での日常生活は退屈なものだとでも言わんばかりであった。まるで依存症だ。

     私は戸惑い、ついに兵士たちの感覚を自分のものとして感じてみたいと思うまでに至った。なぜ戦争へ行きたいのか。それは世界を変革、改善するためなのか。刺激のためか。個人的な野心のためか。それとも何か他の理由があるのか。そして、そういった要因は互いにどんな影響を与え、戦争全体にどんな作用を及ぼしているのだろう。彼らの“依存症”はアフガニスタンの戦況にどんな影響をもたらしているのか。それは戦士たちの困難な状況を見極める能力に何らかの影響を与えているのか。そしてアフガニスタンの住民が自国にいる外国人を見る目に変化はあるのだろうか。逆に“民主主義のための戦い”を率いている国々にもその影響は及ぶのか。彼らの依存症は、現代の若者について何を語ってくれるのだろう?

     人生が変わるような経験をしている人々について映画を作りたいと、いつも思ってきた。人生の通過儀礼となるような、最終的に自分自身とその人間性について考えざるを得ないような経験。それは人間にとって普遍的であり基本的なものだ。戦争とそこで戦う若者を通して、男らしさ、善悪、文明と未開といった認識がどのように実際の戦争に反映されているのか、そしてそれらの概念が、この“大人への成長”の物語にどのように描かれているかが知りたかったのである。


    - ヤヌス・メッツ

    1974年、デンマーク生まれ。結婚移民、売春、グローバル化を扱った2本の映画、『Love on Delivery』(2008)と『Ticket to Paradise』(2008)で監督としての名声を得る。その作品は高い評価を受け、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭シルバーウルフ賞ノミネートの他、数々の賞を受賞し、ヨーロッパ全土で放映される。コミュニケーションと国際開発の修士号を持ち、ドキュメンタリー映画についての記事も多数執筆。初の長編ドキュメンタリーとなる本作で、2010年カンヌ映画祭国際批評家週間グランプリを受賞。