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事務局より

2013-01-10 | 新年のご挨拶

 新しい年となりました。皆様方のご健康とご活躍をお祈り申し上げます。

 山形は県内各地いたるところで雪景色が広がり、朝晩の冷え込みもひときわ厳しくなっておりますが、今年は山形国際ドキュメンタリー映画祭2013開催本番の年ということで、様々な準備が徐々に本格化してゆきます。

 今回の映画祭が10月にはどんな姿になるのか、現段階では正直言って未知の世界というほかはありません。今後、作品選考が本格化し、応募された作品と徹底的に向きあう中で、その芯が形作られてゆきます。また特集上映についても、より具体的なイメージを作っていくのはまさにこれからで、映画祭の目鼻立ちが整うのは、恐らく盛夏の頃となるでしょう。

 映画祭を創っていく現場が、微熱を帯びつつ山形に存在していることを、ときどき思いだしていただければ幸いです。東日本大震災とその影響を見つめてゆく取組みも継続して進めて行きたいと思います。ご期待ください。

高橋卓也(山形事務局長)

 


2013-01-10 | 海外で映画祭アピール! 〜Visible Evidence 2012〜

 2011年の山形映画祭は、歴代2位の入場者数を記録した一方で、原発事故への不安から、海外から訪れる観客や映画界関係者の数が落ち込みました。

 さて今年は? 外国映画を上映するだけなら「国際」映画祭とは名乗れません。

 昨秋には事務局と理事会から幾人もが、ヨーロッパやアジアを訪れる機会を得て、ヤマガタの名を広めて来ました。移り変わりが激しい映画界でなくても、2年に一度のイベントは、忘れられやすい。私も年末、オーストラリアのキャンベラでドキュメンタリーの学会「Visible Evidence」に参加しました。学会創立者のひとり、マイケル・レノフ教授は1991年の第二回YIDFFに 参加しており、懐かしがってくれました。「キェシロフスキやトリン・T・ミンハ、エドワード・ヤンたちとご一緒できてなんとも贅沢な時間だったよ。今度、久しぶりに行きたいなぁ」

 学会とは言え、ナショナル・フィルム&サウンド・アーカイブという国立の映画保存・上映施設と共催で、学術関係者だけでなく一般観客も入れる上映プログラムが充実。日本からはYIDFF 2011のCinema with Usプログラムより 『相馬看花 第一部 失われた土地の記憶』(監督:松林要樹)と『なみのおと』(監督:濱口竜介、酒井耕)の上映がありました。

 会場は1930年に解剖学研究所として建てられたアールデコ様式の美しい建物。Arc劇場は赤いビロードの素敵な座席が約300席、古風だけど調度品が豪華な作りです。映写はもちろん完璧でした。

 上映前に、山形で続けている「Cinema with Us」プロジェクトのこと、震災映画のこと、続編を作り続けている人が多いことから、ひとつの映画群として歴史に残るはずだ、忘れないための記録と上映の重要性、などについて私から簡単に話しました。上映後、何人かの人が話しかけてくれました。

 「私は戦後、シンガポールの日本人捕虜収容所で働いていた。すべてを失ったあの日本人たちが、ここまで戦後復興できた理由が、映画を見てわかった気がする。それは、《故郷》を胸に抱いていたからなんだね。」と話してくれたおじいさん。「自分はドキュメンタリー監督だけど、こんな風に自由に作る精神を長らく忘れていた。こういうのを上映するなら、ヤマガタに行ってみたい。」と熱く感激してくれたベテラン監督。

 メルマガやフェイスブックも良いが、顔を合わせた縁がこんなふうに山形への誘いとなって、世界からヤマガタへの観客殺到につながるか? 今年の10月、お宿のご予約はお早めに!

藤岡朝子(東京事務局ディレクター)