english
2002-08-08 | 〈ヤマガタ+〉映画祭“Post Fiction!”(東京)
 A-Fプログラム

| A-1 | A-2 | A-3 | B | C | D | E | F | プログラム

A-Fプログラム

★……英語原語および英語字幕付き
*……〈ヤマガタ+〉映画祭“Post Fiction!”オリジナルセレクション


A

Aプロ―― Post Fiction! 宣言

これぞ当プログラムの目玉!  お薦め作、代表作が勢ぞろい。フィクションの陳腐さも、記録映像の退屈さも軽々跳び超えた、個性的な作家たちによる世界映画の最先端だ。これこそ〈フィクション以降〉の映画の醍醐味!


A-1 BOX東中野をギャラリーにする

映画館を「現代アートのギャラリー」にしてしまって良いの?? 山形映画祭は、従来のドキュメンタリーの枠をはみ出る斬新な映像作品や実験的な試みを取り入れたラインアップで国際的に評価されている。「映画館」でアートに「触れる」。そんな体験ができること間違いなし!

- - - - - - - - - - - -
真昼の不思議な物体
Mysterious Object at Noon
◎山形国際ドキュメンタリー映画祭2001 優秀賞
(タイ/2000/タイ語/35mm/83分)
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
作り手は誰だ? タイ中を旅し出会った人達に「物語」を作ってもらう、不思議な「変容する映画」。

- - - - - - - - - - - -
時の行進
March of Time
(タイ/2000/タイ語/ビデオ/19分)
監督:ウルポン・ラクササド
第三世界
thirdworld
(タイ/1998/タイ語/ビデオ/17分)
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
幽霊の出る家 ★*
Haunted Houses
(タイ/2001/タイ語/ビデオ/60分)
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
注目されるタイ映画の最先端! パロディ化されたタイ、そして、映画。本年のカンヌ映画祭「ある視点」部門で新作がグランプリを受賞した、アピチャッポンの2本と、タイ北部の農民をみつめる若手作家。

- - - - - - - - - - - -
三人三色
Digital Short Films by Three Filmmakers
◎第13回マルセイユ国際ドキュメンタリー映画祭グランプリ(ジャ・ジャンクー『In Public』)
(韓国/2001/中国語、英語/ビデオ/92分)
監督:ジャ・ジャンクー、ツァイ・ミンリャン、ジョン・アコムフラー
3人の新世代監督がフィクションとドキュメンタリーの境界に切りこむ。特に、ジャ・ジャンクー作品は必見の傑作!

- - - - - - - - - - - -
シックス・イージー・ピーセス
6 Easy Pieces
◎山形国際ドキュメンタリー映画祭2001 優秀賞
(アメリカ、イタリア、ポルトガル/2000/英語、イタリア語、ポルトガル語/ビデオ/68分)
監督:ジョン・ジョスト
ここにあるのは「映像」そのものであり、「表現」そのものである。光に満ちた斬新な映像が立ち現れる6つの断章。

- - - - - - - - - - - -
ロンドンスケッチ
London Brief
(アメリカ/1997/英語/ビデオ/105分)
監督:ジョン・ジョスト
ロンドンに滞在した時の偶然のスケッチ、と監督は言う。しかし、そこには映画の“今”が刻まれている。

- - - - - - - - - - - -
位相
Phases of Real
(日本/1997/日本語/ビデオ/30分)
監督:川口肇
異相
Variant Phases
(日本/2001/日本語/ビデオ/51分)
監督:川口肇
ページをめくるような物語。気持ちの良い、映像と音楽に身を預けたら最後、あなたは、もうこの作品の虜になるはずだ。

- - - - - - - - - - - -
夢の王
King of Dreams
(インド/2001/英語/ビデオ/30分)
監督:アマル・カンワル
塩素中毒
Chlorine Addiction
(シンガポール/2000/英語/ビデオ/44分)
監督:タン・カイシン
毎日1キロ泳がないと気がすまないシンガポールのマルチ・アーティストのユーモア・エッセイと、官能的な映像で描く男性のセクシュアリティを探求する、好対照な2作品。

A-2  廃墟を歩く

あなたのすぐそばに「廃墟」はあるはずだ。ちょっと歩いてみよう。そして、身をあずけてみる。場所としての「廃墟」。それは「映画に映った廃墟」として、あなたを誘う。

- - - - - - - - - - - -
ヴァンダの部屋
In Vanda's Room
◎山形国際ドキュメンタリー映画祭2001 最優秀賞
(ポルトガル、ドイツ、スイス/2000/ポルトガル語/35mm/180分)
監督:ペドロ・コスタ
リスボンの廃墟のような街に住む麻薬中毒のヴァンダの日常。「小津映画」なカメラと「パンク」な音響が交錯する180分。

- - - - - - - - - - - -
MAYA
(日本/2001/8mm/66分)
監督:関根博之
関根博之作品1本(8月31日『AKIHABARA』、9月5日『U・O 5』)
“廃墟の魔術師”の異名をとる映像作家が撮り続ける廃墟の神秘的な姿。人も台詞もない、圧倒的な映像と音が溢れる。

A-3 Post Fiction! 的アジア

デジタルビデオで切り取った、誰も見たことがない「世界」。いま、本当にアジアの「映画」がおもしろい!皆さんの周りにもきっと、こんな世界があるはず!「映画を撮りたくなる」そんな勇気を与えてくれる愛おしい作品たち。

- - - - - - - - - - - -
Blessed ―祝福―
Blessed
◎ヴィジョン・デュ・レール2002 特別賞
(日本/2001/日本語/ビデオ/78分)
監督:崟利子
恋人、昔のアパート、老いた女たち、路地、猫、街のネオン…。ちりばめられた映像の1つ1つが絡み合い、直接的に、間接的に愛を育み作品を満たしている。
※「みんな一緒に暮らせるの?」(Bプロ)でも同プログラムが上映されます。

- - - - - - - - - - - -
太陽はどこに?
The Hearts That Can't See the Sun
(トルコ/1999/トルコ語/ビデオ/23分)
監督:ハサン・カラジャダー
HUMMADRUZ ―大地の呼び声―
Hummadruz
(トルコ/2000/トルコ語/ビデオ/56分)
監督:ハサン・カラジャダー
目、目、目。故郷を失ったトルコ東部の人たちの絶望の深さが、鮮烈な映像と声にならない台詞で描かれる。26歳の才能に驚愕!
※「ここで生きていく。」(Gプロ)でも同プログラムが上映されます。

- - - - - - - - - - - -
この冬
This Winter
◎第13回マルセイユ国際ドキュメンタリー映画祭 新人監督賞
(中国/2001/中国語/ビデオ/90分)
監督:仲華(チョン・ホァ)
大使館警備をする北京武装警察部隊の4人の若者の姿を追う。その新しい映画表現がヤマガタで大評判を呼んだ一作。

- - - - - - - - - - - -
夢の中で
Soshin: In Your Dreams
◎山形国際ドキュメンタリー映画祭2001「アジア千波万波」小川紳介賞
(オーストラリア/2001/英語/ビデオ/26分)
監督:メリッサ・リー
愛についての実話
A True Story about Love
◎山形国際ドキュメンタリー映画祭2001「アジア千波万波」小川紳介賞
(オーストラリア/2001/英語/ビデオ/27分)
監督:メリッサ・リー
不幸せなのは一方だけじゃない
More than One Is Unhappy
◎山形国際ドキュメンタリー映画祭2001「アジア千波万波」奨励賞
(中国/2000/中国語/ビデオ/45分)
監督:王芬(ワン・フェン)
1つは韓国から移民した家族を題材に、もう1つは恋愛劇風にアジア人男性と自分を撮り、自らのアイデンティティーを探る2本1組。中国からは不仲の両親の独白をポップな音楽に乗せてユーモラスに描く結婚像を。それぞれ娘である両監督のチャーミングでしなやかな感性が心地よい作品群。
※「みんな一緒に暮らせるの?」(Bプロ)でも同プログラムが上映されます。

- - - - - - - - - - - -
人魚島の子ども ★  
Child of Mermaid
(マレーシア/1999/マレー語/ビデオ/10分)
監督:モハメド・ナジブ・ラザク、ファイザル・モハメド・ズルキフリ
マレーシア伝統の木造船を作っている船大工の物語。アジア各国の映像作家によるシンポジウム“アジア発Post Fiction宣言”も同時に開催!

B

Bプロ――みんな一緒に暮らせるの?

身内の澱をさらけ出した暗ーい個人映画の時代とはおさらば。Post Fiction!では、恋人・家族・友人を見つめる眼差しにも、異変が起きている! 笑いと感動の、ラインアップ。

- - - - - - - - - - - -
Go Go Fanta-G!
Go Go Fanta-G!
(日本/2001/日本語/ビデオ/22分)
監督:清水浩之
団地酒
Danchizake (Homemade Sake)
◎ヴィジョン・デュ・レール2002 新人監督KODAK賞
◎第13回マルセイユ国際ドキュメンタリー映画祭プラネット賞
(日本/2001/日本語/ビデオ/49分)
監督:大野聡司
働かずに絵を描き酒を作る父と一人で暮らす母、そして家族の絆を醸し出す『団地酒』。新しい教科書を作る会の会員である父の本音をくすぐり出す『Go Go Fanta-G!』。笑いを誘いながらもじんわり心に残る2作品。

- - - - - - - - - - - -
ミックス・フルーツ・バナナ・スプリット
Mixed Fruit Banana Split
(台湾/2000/中国語/ビデオ/63分)
監督:呉静怡(ウー・ジンイー)
セールス
Sales
(台湾/2000/中国語/ビデオ/58分)
監督:曾吉賢(ツェン・ジーシェン)
めちゃキュートな女の子3人の元気と明るさと胸にせまる子ども時代の話。お客、上司、別居中の妻、子ども、母に翻弄されるトヨタのセールスマン。台湾発のおかしくも切ない2作品にすっかりハマってしまう!

- - - - - - - - - - - -
夢の中で
Soshin: In Your Dreams
監督:メリッサ・リー
愛についての実話
A True Story about Love
監督:メリッサ・リー
不幸せなのは一方だけじゃない
More than One Is Unhappy
監督:王芬(ワン・フェン)
※「Post Fiction! 宣言」A-3でも同プログラムが上映されます。作品解説はそちらをご覧ください

- - - - - - - - - - - -
Blessed ―祝福―
Blessed
監督:崟利子
※「Post Fiction! 宣言」A-3でも同プログラムが上映されます。作品解説はそちらをご覧ください

C

Cプロ――忘却に抗って

2001年9月11日に起こった米国の事件は世界を震撼させた。民族紛争、憎しみの連鎖、武力による応酬は、「9.11」の前も後も世界各地で続いている。多文化の共存と平和への願いを込めて、お送りする「忘れないための」映画群。

- - - - - - - - - - - -
ゴースト・オブ・エレクトリシティ
Ghosts of Electricity
(スイス/1997/英語/ビデオ/19分)
監督:ロバート・クレイマー
忘却に抗って ―命のための30通の手紙
Against Forgetting
(フランス/1991/フランス語/ビデオ/90分)
監督:ジャン=リュック・ゴダール、ジェーン・バーキン、ジャック・ドワイヨン、パトリス・ルコントほか
ロバート・クレイマーがロカルノ映画祭のために製作したデジタルビデオによる短編と、フランスを代表する映画作家や俳優たちが綴った、世界の人権弾圧を抗議する30通の映像レター。
※「ロバート・クレイマー特集」(Eプロ)でも同プログラムが上映されます。

- - - - - - - - - - - -
クレイジー
Crazy
(オランダ/1999/オランダ語/35mm/97分)
監督:エディ・ホニグマン
オランダの国連軍兵士が語る心の傷。戦時の記憶と、戦争の恐怖から彼らを守ってくれたそれぞれの特別な1曲が織りなす感動作。
※「音楽は世界を幸せにする」(Lプロ)でも同プログラムが上映されます。

- - - - - - - - - - - -
ガリレアの婚礼
Wedding in Galilee
(ベルギー、フランス/1987/アラビア語/35mm/116分)
監督:ミシェル・クレフィ
イスラエル兵監視下のアラブの祝祭。緊張と不安の中で若い二人は初夜を迎えられるのか。パレスティナ出身の監督がみずみずしく描く祭りの時間。

- - - - - - - - - - - -
ハッピー・バースディ、Mr.モグラビ
Happy Birthday, Mr. Mograbi
(イスラエル、フランス/1999/ヘブライ語、アラビア語、英語/16mm/77分)
監督:アヴィ・モグラビ
イスラエルとパレスチナから同時に映画製作を依頼された、イスラエル人映画作家による自作自演プライベート・ドキュメンタリー。

- - - - - - - - - - - -
マニュファクチャリング・コンセント ―ノーム・チョムスキーとメディア
Manufacturing Consent: Noam Chomsky & the Media
(カナダ/1992/英語/16mm/165分)
監督:マーク・アクバー、ピーター・ウィントニック
思想は社会を変えうるか?  9.11以降、発言が注目されている思想家ノーム・チョムスキーをユーモラスに「追っかけ」た1992年作。

- - - - - - - - - - - -
モーゼからの権利証書
Title Deed from Moses
(パレスティナ/1998/アラビア語/ビデオ/30分)
監督:アッザ・エル・ハッサン
ニュースタイム
News Time
(パレスティナ/2001/アラビア語/ビデオ/52分)
監督:アッザ・エル・ハッサン
私にとって、パレスティナって? パレスティナ人家庭に育った女性が捉える、ニュースでは報道されない、普通の市民の日常生活が輝く。

- - - - - - - - - - - -
戦争と平和 ―非暴力から問う核ナショナリズム ★*
War and Peace
◎EARTH VISION第10回地球環境映像祭アース・ビジョン大賞
(インド/2001/ヒンディー語、英語、日本語/ビデオ/166分)
監督:アナンド・パトワルダン
インド・パキスタンの核競争と宗教紛争はエスカレートする一方。ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭の危険を多層的に捉える。

- - - - - - - - - - - -
A
(日本/1998/日本語/ビデオ/120分)
監督:森達也
地下鉄サリン事件のメディアによる一面的な報道。森達也はそれに背を向け、若いオウム信者を追う。それは、ある青春の断片だった。

- - - - - - - - - - - -
A2
◎山形国際ドキュメンタリー映画祭2001 特別賞、市民賞
(日本/2001/日本語/ビデオ/131分)
監督:森達也
山形市民の圧倒的支持を集め、記録的動員を記録! オウムを通して、日本社会のもうひとつの姿が浮かび上がってくる快作。

- - - - - - - - - - - -
石の賛美歌
Canticle of the Stones
(ベルギー/1990/アラビア語/35mm/105分)
監督:ミシェル・クレフィ
今日のパレスチナにおける人間の痛みについての映画。イスラエルの街を舞台にパレスティティナ人のアイデンティティを描く。

D

Dプロ――男なの?女なの? 〜セクシュアリティをめぐって〜

ゲイ、レズビアン、トランスセクシュアルなど、様々なセクシュアリティやジェンダー・アイデンティティをめぐる作品群。世界発、個と社会を結ぶ〈性〉の現在を見つめる。あなたは、男なの? 女なの? どっち?

- - - - - - - - - - - -
刑法175条
Paragraph 175
(アメリカ/2000/英語/35mm/81分)
監督:ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン
ナチスの迫害は、ユダヤ人だけでなく同性愛者にもおよんでいた…。同性愛者を差別するドイツ刑法175条の歴史を暴く。

- - - - - - - - - - - -
セルロイド・クローゼット ★*
The Celluloid Closet
(アメリカ/1995/英語/35mm/104分)
監督:ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン
ハリウッド映画の裏側に脈々と生き続けてきたレズビアン/ゲイのメッセージ。そのタブーのクローゼットを今、開け放つ。

- - - - - - - - - - - -
僕たち
Our Boys
(バングラデシュ/2000/ベンガル語/ビデオ/42分)
監督:マンザーレ・ハセィン
パフォーマンス
The Performance
(インド/2001/ヒンディー語/ビデオ/51分)
監督:ラーフル・ローイ
男としてのセクシュアリティを問う2作。ダッカの中・上流階級の少年たちとデリーのレスリング場に集まる労働者階級の男たちが自らの男性性を露わにする。

- - - - - - - - - - - -
ロバート・イーズ
【映画祭上映題『安らぎの土地』】
Southern Comfort
◎サンダンス映画祭2001審査員大賞
(アメリカ/2000/英語/35mm/90分)
監督:ケイト・デイヴィス
女から本来の性である男になったロバート・イーズ。彼のライフ・ヒストリーは観る者に生きる勇気を与える。9/28公開を前にプレミア上映!

- - - - - - - - - - - -
友人、スー
My Friend Su
(インド/2001/ヒンディー語/ビデオ/55分)
監督:ニーラジ・バシン
パンジーと蔦
Pansy and Ivy
(韓国/2000/韓国語/ビデオ/60分)
監督:ケ・ウンギョン
外見は男、でも内面は女という、友人スーのインド社会における姿。普通の恋愛、セックス、結婚を夢見る生まれつき小人症の韓国人姉妹。「普通に生きる」ってなんだろう?

- - - - - - - - - - - -
父、息子、聖なる戦い
Father, Son, and Holy War
◎山形国際ドキュメンタリー映画祭'95 特別賞
(インド/1994/ヒンディー語、英語/16mm/120分)
監督:アナンド・パトワルダン
ヒンドゥー・イスラム教の信者たちが奮う、爆発的暴力。その原因は、男性らしさを保つための「男性優位論」にあった!

E

Eプロ――“今”、“ここ”、“世界について”―ロバート・クレイマー特集

ヤマガタを2度訪れ、その度に熱狂的なファンを集めた孤高の映画作家ロバート・クレイマー。現代社会の本質を批評的立場から見つめる作品を発表しつづけ、その不動の地を築きながらも新たなる世界を模索するクレイマーの映画からのメッセージは、1999年の突然の死の後もさらに鮮明に語りかけてくる。この惑星で生き延びるために、クレイマーの提示した世界との対話を試みる、4つの作品群。

- - - - - - - - - - - -
ルート1
Route One/USA
◎山形国際ドキュメンタリー映画祭'89 最優秀賞
(フランス/1989/英語/35mm/255分)
10年ぶりに故郷アメリカへ戻った主人公がカナダからフロリダに至るハイウェイ、ルート1をたどるロードムービー。今なおクレイマー作品の最高傑作の一本と評されている。

- - - - - - - - - - - -
平原の都市群
Cities of the Plain
(フランス/2000/フランス語/35mm/110分)
今、静かに自分の人生の軌跡を振り返り、死に向い合っている盲目の男。アルジェリアから移民してきたベンを中心にジグソーパズルのようなプロットは時空間を超えて展開する。本作品の撮影をほぼ終える時に突然倒れ、そのまま昏睡状態となり、帰らぬ人となったクレイマーだが、自らの死を既に意識しているかのような作品に思えるのは単なる偶然なのか。

- - - - - - - - - - - -
ゴースト・オブ・エレクトリシティ
Ghosts of Electricity
(スイス/1997/英語/ビデオ/19分) 
日本で初めて上映された時には税関によりフィルム・カットを余儀なくされたいわくつきの映画をノーカット版で上映。「シネマとは我々の肉体の物語だ」とクレイマーは語る。
忘却に抗って ―命のための30通の手紙
Against Forgetting
(フランス/1991/フランス語/ビデオ/90分)
製作:アムネスティ・インターナショナル・フランス
ロバート・クレイマーはペルーの政治的権力に翻弄され、軍に捕われた一市民フィデル・フェルナンデスのために告発する。時はまさにフジモリ政権の夜明けである。
※「忘却に抗って」(Cプロ)でも同プログラムが上映されます。

F

Fプロ――キアロスタミじゃわからないイラン!

イラン映画はキアロスタミやマフマルバフだけじゃない。まだ未発見の才能が、年間100本近くの短編製作で培われる。イラン文化の諸貌をどうぞ。

- - - - - - - - - - - -
イラン式離婚狂想曲
Divorce Iranian Style
(イギリス、イラン/1998/英語、ペルシャ語/16mm/80分)
監督:キム・ロンジノット、ジバ・ミル=ホセイニ
自由意志による離婚が認められないイランの女性でも、無個性のチャドルの下には豊かで強烈な個性が輝く。

- - - - - - - - - - - -
母の家は入り江
My Mother's Home, Lagoon
(イラン/1999/ペルシャ語/ビデオ/32分)
監督:メヘルダード・オスコウイ
日蝕
The Eclipse
(イラン/2000/ペルシャ語/ビデオ/15分)
監督:E・サイーディ、M・オスコウイ
騒音の向こう側
Life Beyond the Noise
(イラン/2000/ダイアローグなし/ビデオ/13分)
監督:アボルファズル・ソルシュメヘル
アテフェと水
Water and Atefeh
(イラン/2001/ペルシャ語/ビデオ/42分)
監督:ナヒード・レザイ
同じイランでもこんなに違う。山あり、海あり、農場あり、バザールあり。人の生き方もしかり。映画のスタイルもしかり。フィクション、ファンタジー、実験性を交えた中短編作品群。どれが好き?