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2001-06-30 | インターナショナル・コンペティションの特徴と傾向

 今回のインターナショナル・コンペティションは、2000年9月1日から2001年3月31日まで応募を受付け、ビデオ作品での応募も可能にしたことにより、前回をはるかに上回る670作品が集まりました。その後数ヶ月にわたる選考を経て、6月9日の最終選考会で上映作品15本(フィルム作品9本、ビデオ作品6本)を選出致しました。

 作品の題名や簡単な内容については、こちらをご覧下さい。

 ここではその全体の特徴と選出された作品の傾向を紹介致します。


 応募された対象作品のうち約70%はビデオ作品でした。これは単純にビデオを使用して製作する作家が増えたと言うことにはなりますが、その数字の中身は若手作家の応募の他に、これまでフィルムを回していた人々が、ムービーカメラをビデオカメラに持ち替えて作品を製作を始めているという新たな変化が読み取れます。

 また、山形と作家との継続的な関係も増々深くなっており、審査員として山形を訪れた監督が今回は作家として作品を応募してくるケースや、毎回コンスタントに作品を応募し続ける監督も増えております。

 一方、これまでインターナショナル・コンペティション以外のプログラムで上映されたアジアの作家たちの作品も今回は4本選ばれました。製作国はフランスですが、カンボジア出身の監督作品を加えると15作品中5本はアジアの作品が占めることになりました。

 テーマや内容については、90年代半ばから続いている傾向として、自分の両親や家族を題材にして撮影したものが今回も数多く応募されており、この流れは歴史的出来事や個人的な体験を取り込み、大きな幹に成長しつつあり ます。

 また、ドキュメンタリーという今までの枠組みを超えた新しい試みの作品も数多く見られました。

 さらに今回は、ファウンド・フッテージ(発見された過去の映像)をふんだんに使用した作品が数多く見られ、海外ではファウンド・フッテージがかなり自由に使用できることがわかります。

 様々な熱気と感性が交錯するバラエティに富んだインターナショナル・コンペティション15作品は、世界の新しいドキュメンタリー映画を一望できる絶好の機会です。ぜひ監督といっしょに映画祭のスクリーンでそれぞれの力作をご堪能下さい。

(宮沢啓・山形事務局コーディネーター)