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YIDFF 2007 アジア千波万波
姉貴
胡新宇(フー・シンユィ) 監督インタビュー

家族のアルバム


Q: ドキュメンタリーを撮り始めた時から、家族だけに焦点を当てていたそうですが、その動機はなんですか。

HX: 動機といえば、現代版の活動写真を撮りたかったということです。皆いずれは死んでいく存在です。時がたち、そういうものを観れば、思い出すことができる。アルバムを作れます。そういったことが動機です。そして、私は人が生きるということがどういうことなのか、いつも考えます。人は何のために生き、どこから来てどこへ行くのか。そういうことを表現したいと思っています。

Q: お姉さんの白髪のクローズアップや音楽の使い方など、演出にとても凝っているように感じたのですが。

HX: 私がやってきたことを演出とするならば、そう感じられるのならば、それは劇映画の文法によってこの作品を観ているということになると感じます。特に中国映画でそういった方法を使って、海外で評価されている作品は多くあります。しかし、そういったことは自分にとっては非常に恥ずかしいことであり、虚偽的なことだと感じています。あくまでも、自分の目の前で実際に起こったのがそういう状況だっただけです。海外で評価されたいという気持ちは自分にもありますが、しかし、こういった劇映画的な演出方法をあえて埋め込もうとは私は考えていないのです。白髪のクローズアップを写したのは、そこで観客に自分の姉が43歳であること、中年であるということをまず示したかったのです。クローズアップを多用したのは、表情をたくみに映し出したかったのです。感情というものを表現したかっただけで、ドキュメンタリーの客観性にこだわっているのではありません。むしろドキュメンタリーの客観性を信じていないのです。

 作品というものを、個人の主観の複合体であるというような形で作っていきたいし、作ってきたつもりです。様々な異なる個人の主観がそこにあらわになっている、それが自分のベースになっています。そこにはもちろん作者である自分の主観が表れてきます。そこに自分を介在させているわけです。それを観客に観てもらって、一体何が客観的なことなのか、そういうことを観客に投げかける。そういった作品を作っているし、作っていきたいと思っています。

Q: これからも家族を主体とした作品を撮り続けていくのですか。

HX: そうですね。家族以外のテーマで撮るということも考えていますが、やはり最大のテーマは家族です。今まで撮った自分の家族だけではなく、これから結婚してできるであろう家族も撮っていくでしょう。そして、それを死ぬまで続けていくつもりです。いわば、これは私にとってのパフォーマンスアートです。死ぬまで自分と繋がる家族を撮り続ける、そしてそれを映像という形で残し続ける、これが私にとってのパフォーマンスアートだと思っています。

 そしてまた、私はこの作品を映画として観られることに違和感を抱いています。これはビデオであって、映画ではないのです。ビデオアートということです。私はそのことに誇りを持っています。私は映画というものをむしろ、下にみています。なぜかというと、映画の中には嘘が非常に多く含まれているからです。それは、映画はリアルな質感というものを無視していると感じているからです。ですから私はビデオアートを撮り続けたいと思っています。

(採録・構成:西岡弘子)

インタビュアー:西岡弘子、熊谷順子/通訳:秋山珠子
写真撮影:金子裕司/ビデオ撮影:金子裕司/2007-10-05