園部真実子 監督インタビュー
自分の壁を壊したい
Q: 作品では、言葉がとても効果的に使われていると感じました。
SM: 私の作品作りはまず“言葉”です。大学生の頃、暇さえあれば紙に何かを書いていました。それを元に構成をまとめ、どんな画を入れようと考えます。ただ今回の『ガールフレンド』は少し特殊でした。まず彼女を撮ろうとカメラを廻していたら、予想のつかない方向へ展開していきました。作品にどうまとめたらいいのかわからなくなったけれど、「これはいける」という感覚だけはありました。あの作品で“あなた”や“彼女”が誰かは、重要ではありません。全部が嘘かもしれないし、本当かもしれない。人によって感想が違うのがおもしろいと思います。作品の中にある私の策略に引っかかってくれると、「やった」と思います。
Q: 「私映画」をどうとらえていますか?
SM: 私はまだその定義を見つけていません。私自身は私映画を作ろうとしているわけではなく、最終的にできあがったものが私映画の枠に入る、今回がまさにそうです。「アジア千波万波」のつもりが、「私映画から見えるもの」に作品が並びました。
『ガールフレンド』も、突きつめれば私自身を見てほしかったのです。私の作品は、すべてそうなのだと思います。自分を出したい、でも出せない、その葛藤の繰り返しです。私は大学で優等生と言われ、その壁を壊したくて戦ってきました。この作品に関しては、明らかに今までとは違うものに仕上がっています。それは少しは自分を出せたことなのかもしれません。
今年、カナダで4カ月間語学を学んできました。英語の勉強以上に出会いや刺激があり、たくさん“言葉”が生まれました。今までにないくらい、自分の道がこの先楽しみでしょうがないです。
(採録・構成:柏崎まゆみ)
インタビュアー:柏崎まゆみ、奥山奏子
写真撮影:松本美保/ビデオ撮影:佐藤久美子/ 2005-10-04 山形にて