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YIDFF 2005 アジア千波万波
25歳、小学二年生
李家驊(リー・ジアホア) 監督インタビュー

すべての始まりは自分から


Q: 監督の個人的な出来事を、人に見せることについて、どのように考えていらっしゃいますか?

LC: もともとこの作品は、公開上映するつもりはなかったのです。学校の内部で上映会をした時に、それを見ていた学校の先生が非常に感動した、と言ってくれました。彼自身も似たような経験があり、この作品を通して自分の過去と向き合う大きなきっかけになったと言ってくれました。個人的な経験も他の人と共有しうるんだなと思い、人に見せる価値があると感じたのです。

Q: その前は、どのような作品を作られていたのですか?

LC: 大学でずっとフェンシングをやっていたのですが、その時、韓国から有名なフェンシングのコーチがきて、彼の台湾での活動を撮ったドキュメンタリーを作りました。その第1作を撮っている過程で、重要な問題に対して、それをどうしていいかわからない時に、避けてしまう傾向に気づいたんです。それを大学の先生に相談したところ、彼がまず自分と向き合いなさい、と教えてくれたのです。

Q: 写真のような風景を固定で撮っているところが、作品の印象を深めるリズムを与えていると思ったのですが、どこまであらかじめ構成を考えていたのでしょうか?

LC: あらかじめ構成を練ってはいません。編集も基本的に直感に頼りました。この作品は大きくふたつに分けられると思います。前半は私がその出来事をどのように思っているか、後半はそのことに対応して解決していく。前半部分は、あたかも観客が私の目の前に座って、私の話に耳を傾けている友人であるかのような形を作ろうと思いました。そのような処理を通して、観客に自分の問題の中に入ってきてもらい、そこから一緒に問題を解決するプロセスに入ってもらおうと考えました。ただ、そのような意識は、編集段階で明確には持ってはいませんでした。直感に従ったというのが一番ですね。

Q: ドキュメンタリー映画について、考えを教えていただけますか?

LC: ドキュメンタリーというのは、実際の事件に対してクリエイティブな処理を施すことだと、学校では教えられています。私個人にとっては、ドキュメンタリーと劇映画の境界線には、重要な意味はありません。その創作方法は違うけれども、両者を結合させてはいけない、ということはないと思います。だから自分は、どちらにも所属していないような作品を作りたいです。そして、あらゆる作品は自分から出発します。自分を感動させることができなければ人を感動させることなどできません。自分を感動させることが一番大切で、あらゆる芸術が自分をモチーフにしています。それはとても素晴らしいものだと思います。それと、ドキュメンタリーとは、他者の人生の真実を撮るということです。だから、撮られるということの困惑を理解しないといけないと思います。今回、自分が被写体になることによって、被写体の気持ちをより理解する、という目的がありました。これは2作目の作品ですが、これが本当の意味での出発点となったもので、自分にとってのデビュー作でしょう。

(採録・構成:石井玲衣)

インタビュアー:石井玲衣、佐藤寛朗/通訳:秋山珠子
写真撮影:佐藤朱理/ビデオ撮影:市川悠輔/ 2005-10-11