アフリカを/から観る
●10月6日−10日 [会場]山形美術館1
21世紀はアフリカの世紀だと謳われる一方、新たなアフリカ分割と呼ばれるほど熾烈な資源争奪戦、“テロとの闘い”や原理主義勢力の跳梁、疫病のアウトブレイクなど、アフリカは次々に大きな試練にさらされている。大きなノイズを立て、軋みながらも前進する現代アフリカとそこで生きる人々の姿をサブサハラを中心に2000年代以降の20を超える作品を通して紹介する。
アフリカからの視点でアフリカ像を再構築するという衝動は近年のドキュメンタリーの世界でも大きなうねりとなって現れている。宣教師と入植者の歴史を通じてヨーロッパとアフリカの複雑で問題を孕んだ関係を描いた『植民地的誤解』(2004)、マリのトンブクトゥの歴史上の役割を再評価する『トンブクトゥの写本』(2009)、黒人解放という大義を掲げられ第二次大戦に駆り出された南アフリカの黒人兵を描く『軍靴と自転車』(2007)、アミルカル・カブラルへの支援、チェ・ゲバラによるコンゴ革命軍への指導など、冷戦時代のキューバのアフリカ解放への関与を描く『キューバのアフリカ遠征』(2007)、1967年のクリスチャン・バーナードによる世界初の心臓移植という南アフリカの偉業の影に隠されたアフリカ人助手の功績に迫る『隠された心臓 ― クリスチャン・バーナードとハミルトン・ナキの物語』(2007)などを紹介する。
アフリカの抱える問題にそれぞれの視点から迫る作品群からは、“テロとの闘い”の現場をソマリアに派兵されたアフリカ連合軍兵士が撮影した映像を元に明らかにする『モガディシュの兵士』(2016)や、植民地時代の虐殺により研究の名の下にドイツに持ち去られた先祖の遺骨返還を求めるナミビアの市民を描いた『遥かなる故郷』(2016)、戦乱から逃れたスーダンの青ナイルとヌバの人々が音楽に支えられ生きていく姿を描く『アントノフのビート』(2014)などを紹介する。
さらに、大陸各地ではじけるアフリカルチャーを捉えた作品群からはストリートダンスで表現される若者たちのアイデンティティを描いた『アフリカン・サイファー』(2012)、1994年の大虐殺で深く傷ついたルワンダ社会がポップミュージックや伝統舞踊を通じて再生しようとする姿を描く『イントレ』(2014)などを紹介する。
監督をはじめゲストによるトークショーも開催予定。
- 第1部:自画像を描き直すアフリカ
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『モザンビーク 映画の誕生』監督:マルガリーダ・カルドソ/モザンビーク、ポルトガル/2003/52分 ●10日10:50
『植民地的誤解』監督:ジャン=マリー・テノ/カメルーン、フランス、 ドイツ/2004/76分 ●9日15:10
『軍靴と自転車 ― 第二次世界大戦で戦った南アフリカ人』監督:ヴィンセント・モロイ/南アフリカ/2007/80分 ●7日15:40
『キューバのアフリカ遠征』監督:ジハン・エル・ターリ/フランス/2007/190分 ●7日18:10
『隠された心臓 ― クリスチャン・バーナードとハミルトン・ナキの物語』監督:クリスティーナ・カーラー、ヴェルナー・シュ ヴァイツァー/スイス、ドイツ、南アフリカ/2007/97分 ●8日15:20
『母なる大地』監督:オーウェン・アリク・シャハダ/アメリカ、イギリス/2010/118分 ●6日15:30
『ナセル:現代のファラオ』監督:ジハン・エル・ターリ/エジプト、フランス、アメリカ、カタール/2015/97分 ●6日18:20
『独立』監督:マリオ・バストス/アンゴラ/2015/110分 ●6日12:50
『遥かなる故郷』監督:ヴィンセント・モロイ/南アフリカ、ナミビア/2016/68分 ●8日19:50
第2部:アフリカの抱える課題 それぞれの視角-
『コンゴ川 闇の向こうに』監督:ティエリー・ミシェル/ベルギー/2005/116分 ●10日12:40
『あるアフリカの選挙』監督:ジャレット・J・メルツ、ケビン・メルツ/ガーナ、アメリカ、スイス/2011/89分 ●6日10:30
『ロバート・ムガベよ、いったいどうしたのか?』監督:サイモン・ブライト/イギリス、フランス、南アフリカ/2011/84分 ●9日12:50
『ファソ・ファニのサイレン』監督:ミシェル・K・ゾンゴ/ブルキナファソ、フランス、カタール/2014/90分 ●10日18:20
『アントノフのビート』監督:ハジュージ・クーカ/スーダン、南アフリカ/2014/68分 ●8日12:50
『モガディシュの兵士』監督:トルスタイン・グルーデ/ノルウェー、デンマーク、フィンランド、ソマリア/2016/84分 ●7日13:00
『大統領帰還 マダガスカルクーデターその後』監督:ロッテ・ミク・マイヤー/マダガスカル、南アフリカ、フランス、デンマーク/2017/78分 ●9日20:00
第3部:はじけるアフリカルチャー-
『コスミック・アフリカ』監督:クレイグ・フォスター、デイモン・フォスター/南アフリカ/2002/72分 ●10日16:00
『Fokofpolisiekar "Forgive Them for They Know Not What They Do"』監督:ブライアン・リトル/南アフリカ/2009/108分 ●9日17:20
『トンブクトゥの写本』監督:ゾラ・マセコ/南アフリカ/2009/74分 ●7日10:50
『アフリカン・サイファー』監督:ブライアン・リトル/南アフリカ/2012/100分 ●8日17:40
『イントレ』監督:エリック・カベラ/ルワンダ/2014/76分 ●8日10:50
『ビ・キデュテと僕』監督:アンディ・ジョーンズ/イギリス、タンザニア/2015/74分 ●9日10:50
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- アフリカナイト!
- アフリカ音楽を味わいつくすDJライブ。山形の熱い夜をお過ごしください!
出演:It's Time For Africa
[日時]10月8日[日]21:00開演(20:30開場)
[会場]Sandinista(山形市香澄町2-3-35 八巻ビルB1F)
[料金]2,500円(前売・当日)※ワンドリンク付
映画祭チケット半券・パス持参で2,000円
*前売券取扱:山形国際ドキュメンタリー映画祭 山形事務局(023-666-4480)、東京事務局(03-5362-0672)
[問い合わせ]e-mail: yidffafrica@gmail.com
詳しくはこちら 「アフリカナイト!」Facebookページ