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     最近でこそほぼ毎年のように山形ロケ作品が公開されているが、戦前に山形でロケされた劇映画はそう多くはないように思われる。今回上映する『馬』、『川中島合戦』の舞台は盛岡であり信州なのだが、なぜ山形でロケが行われるようになったのだろうか。『川中島合戦』の衣笠貞之助監督が当時の映画雑誌で語っている言葉を紹介する。

    私が、今度のロケ地を特に東北地方の山形、秋田に選んだのは、秋田の大曲、山形の柏倉門伝、山寺、高湯の地勢が『川中島合戦』に格好な諸条件を供へてゐること、亦この地方は馬産地であり、川中島合戦の騎馬戦を撮影するに有利な点にあるのですが、今ひとつ、もっと大事なことは、東北地方には、私共が今日まで関東、関西地方で時代劇映画を製作し続けて馴れきり知り悉したものがなく、風土、風習総ての点に非常にローカルな清新さがあり、それを『川中島合戦』の中に生かして採り入れたいと思ったからです。(「映画之友」昭和16年10月号)。

     馬の産地であったこと、ローカルな清新さがあったこと、が『馬』にも共通するその理由だったと思われる。66年前の“清新なやまがた”を映画の中に発見してみたい。

    (斎藤久雄)


    -

    Horse

    1941/日本語/モノクロ/16mm(原版:35mm)/129分
    監督、脚本:山本嘉次郎 製作主任:黒澤明 撮影:唐沢弘光、三村明、鈴木博、伊藤武夫
    編集:佐藤敏男 録音:樋口智久 音楽:北村滋章 照明:大沼正喜
    出演:高峰秀子、藤原鶏太、竹久千恵子、二葉かほる、平田武
    製作会社:東宝映画、映画科学研究所 提供:東宝

    東北の農村を舞台にして、馬と少女のふれあいを描く。軍馬を育てる愛国物語という当時の国策(戦意昂揚)に沿った内容だが、4人の撮影監督によって映しだされた春夏秋冬の農村の風物詩など山本嘉次郎監督のセミ・ドキュメンタリー的な演出が印象的。主演の少女を高峰秀子が好演。実際は助監督でもあった黒澤明が撮影したシーンも多数あったと言われている。中心となった撮影地は岩手県盛岡市だが、雪深いシーンなどは山形県の新庄、最上町でロケされた。



    - 川中島合戦

    The Battle of Kawanakajima

    1941/日本語/モノクロ/16mm(原版:35mm)/120分
    監督:衣笠貞之助 製作主任:森一、楠田清 原作:棟田博 脚色:棟田博、衣笠貞之助 
    撮影:三浦光雄 編集:岩下広一 美術:松山宗 録音:安恵重遠 音楽:山田耕筰 
    照明:藤林甲 出演:市川猿之助、大河内伝次郎、長谷川一夫、入江たか子、山田五十鈴
    製作会社:東宝映画 提供:東京国立近代美術館フィルムセンター

    上杉謙信(市川猿之助、後の市川猿翁)と武田信玄(大河内伝次郎)の合戦を描いた大作。物語の中心は上杉軍の大荷駄の組頭(猿之助、二役)と小者(長谷川一夫)らによる物資輸送の奮闘ぶりで、そこに旅の女(山田五十鈴)のエピソードが絡む。昭和16年の夏に山形ロケが敢行され長谷川一夫、山田五十鈴らスターが大挙来県、当時はかなりの話題になったという。天童、山寺、高湯、平清水、柏倉門伝、上山などで撮影された。