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事務局より

2014-02-14 | 『蜘蛛の地』監督よりメッセージ

 YIDFF 2013 インターナショナル・コンペティション部門で上映された『蜘蛛の地』のキム・ドンリョン監督とパク・ギョンテ監督より、素敵なメッセージが届きました。『蜘蛛の地』は、二人の監督が、韓国の米軍キャンプ周辺の歓楽街でかつて性産業に従事せざるを得なかった女性たちの想像を絶する苦しみを、老境に入り今はひっそりと暮らす彼女たち当事者とともに作り上げた作品です。その女性の一人で出演者のパク・インスンさんは、昨年監督とともに来日、山形映画祭に参加してくださいました。滞在中のパク・ギョンテさんの急病というアクシデントもありましたが、それを乗り越えて心から映画祭を楽しみ、また大勢の日本の観客とともに自分の映画を見る、観客と触れ合う時間を、彼女は非常に希有な体験として以下のように話してくださったそうですので、ここにご紹介します。


 山形国際ドキュメンタリー映画祭2013で起きた全てのこと、私たちの映画『蜘蛛の地』に皆さんから寄せられた支援と信頼の念に感謝します。

 韓国に戻ってから、一緒に映画祭に参加した出演者のパク・インスンさんが、山形での体験について感じたことを私たちに話してくれました。彼女は、多くの日本の観客が、まるで、この映画から吐き出される激しい苦痛を理解しているかのように、静かに集中して映画を見ているのを見て驚いたと言っていました。
 彼女はまた、いく人かの観客が、この苦痛を彼らの体の芯にまで刻み込んでいたように感じ、“互いに理解し合うこと”とは、こうした苦痛の共有から生まれるのだとそのとき不意に悟ったというのです。
 おそらくこれこそが映画の魔法であり、少なくともそれは、言葉なしで直接互いを理解し合うことのできる魔法なのだろうと思います。

 皆さんにとって素晴らしい新年となりますよう。またヤマガタで皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

キム・ドンリョン、パク・ギョンテ

We just wanted to say hello and thank you again for all what happened in 2013 Yamagata, and your support and belief in Tour of Duty.

After our return, our protagonist Ms. Park Insoon told us about her experience in Yamagata. She said it was surprising to see many Japanese audience quietly but keenly watching the story, as if they understood the agony expelled through the film.
She could also feel some audience engraved this agony to their bones and suddenly she realized that "understanding each other" comes from this share of agony.
I guess maybe this is the spell of cinema, in which at least, we imagine we have understood each other directly, without words.

We wish you a happy new year and hope to see you soon at Yamagata again.

KDR and PKT


 『蜘蛛の地』は、山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー内でビデオでの視聴が可能なほか、映画祭事務局で各地の上映会への上映素材の貸出も受け付けています。上映会を企画する、あるいは上映会を見に行くことで、ぜひこの「映画の魔法」を感じてください。

(映画祭事務局)