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YIDFF 2017 アジア千波万波
猫、犬、動物、そしてサシミのこと
ペリー・ディゾン 監督インタビュー

何かを求めて


Q: 私は、おなじ若い世代として、恋をしたり、将来のことを悩んだりするドンドンの姿に共感しました。初監督作品ということですが、この映画を撮ることになったきっかけを教えてください。

PD: 私は長い間俳優として映画監督たちと仕事をしていましたし、美術や、助監督など様々な形で映画にかかわってきました。ある夏の日、撮影現場だったと思うんですが、友人のカメラを借りて、いろいろ実験していました。そして「映画を撮ってみてもいいかも」と思ったんです。私はとても恥ずかしがり屋なので、作品を作ったことも、とても恥ずかしかったんですが、せっかく作ったのでこの映画祭に応募しました。

Q: ミンダナオ島のたくさんの子どものなかから、ドンドンを選んだ理由はなんですか?

PD: ミンダナオ島で取材をした際に、偶然彼と出会ったのですが、たくさんの子どものなかで彼がひときわ目立っていたんです。カメラを通して彼をみると、何か彼の目にミステリアスなものが光って見えて、それは何なんだろうと思い撮影を始めました。しかし、はじめに撮ったものはうまくいきませんでした。それは私がよそ者であり、村の人たちと距離があったためです。それに気づいたので、農場を手伝ったり、おしゃべりをしたりして、まわりの人に慣れてもらいました。私はただ村にいる人で、たまたまカメラを持っている人、くらいの存在になってから撮影したら上手くいきました。その後、約30日間かけて島での撮影を行いました。

 私は、単に美しいものを撮ろうと思って、カメラを廻していましたが、美しいものを追いかければ追いかけるほど、不思議と悲しみが浮かびあがってきました。私自身もその理由はわかりません。島の生活は、確かにある意味、豊かですが、でも何かを強く求めている感じがするのです。それが思いやりなのか、愛なのか、もっと学びたいという意欲なのか、あるいは私自身の何かが投影されているのか、それはわかりません。

Q: 『猫、犬、動物、そしてサシミのこと』 というタイトルは、ユニークで面白いと思いましたが、どうして思いついたのですか?

PD: 映画のタイトルを決めるために映画を見直すと、猫がいて、犬がいて、その他の動物がいました。それは、ドンドンのつらい労働にも繋がっているので良いと思いました。さらに、“サシミ”と入れた理由は、この作品自体がとても生々しいからです。私の初監督作品で、カメラも初心者で、そして、それ以外のいろいろなものが自分にとって新しかったからです。

Q: 今後の作品の構想はありますか?

PD: ドンドンを今後も撮りたいと思っています。去年ミンダナオ島に戻ったところ、彼は紛争があった町に移動したと聞きました。紛争に巻き込まれたかと心配をしていましたが、今は違う町の工場で働いているという情報を得ています。この映画の撮影から2年以上経っているので彼の姿は変わっていると思いますが、これから彼を探す旅に出ようと思っています。

(構成:永山桃)

インタビュアー:永山桃、楠瀬かおり/通訳:冨田香里
写真撮影:鳥羽梨緒/ビデオ撮影:狩野はる菜/2017-10-06