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    ありのまま

    Bare

    - インド/2006/英語/カラー/ビデオ/11分

    監督、脚本:サンターナ・イーッサル
    編集:サンターナ・イーッサル、パンカジ・リシ・クマール
    録音:プリータム・ダース
    製作:ラージーブ・メヘロートラ
    製作会社:公共放送基金(PSBT)
    提供:サンターナ・イーッサル

    アルコール依存症が原因で既に父から離れてしまった母と姉に電話口で責められる監督。それぞれの想いを受け止めつつも、記憶にある父親の過去と今の現実が、彼女を電話へとかき立てる。仲の良い姉妹が映し出される20年以上も前に両親が撮影したホームビデオでは、父親が優しく話しかけ、少女たちは無邪気に遊ぶ。楽しい頃の家族の映像に目を凝らすと、そこから何かが見つかるような気にさせる。そんな当時を取り戻そうとするかのように、監督は電話口で父親に向き合い、理解を試みる。



    【監督のことば】初めてのことは何でも特別だが、私にとって『ありのまま』は、最初に作った映画以上の存在だ。

     私がほんの子どもの頃に両親が撮影した、一家4人のホームビデオの映像と、父、母、姉との電話での会話を通して、私は、父のアルコール依存症が私たち家族に与えた影響を探りたいと思っていた。

     私にとって驚きだったのは、父の目を通して物事を眺められるようになっていたことだった。以前はそんなことは考えもしなかった。この主題についての映画を撮ることによって、父との関係から適切な距離を保ち、批判的になることなく父の話に耳を傾けることができた。そして母と姉と私は、今後も父と会い続けるかどうかについて意見がぶつかり、互いに深く愛し合っている者同士にしかできない激しさで言い争った。

     私は父と一切の関係を絶つと決意し、この映画は当初その決意について描くことになっていた。でも撮り終わってみると、父との関わりを続けたいのかどうか、まったくわからなくなっている自分についての映画ができあがっていた。私が幼かった頃は最高の父親だったという事実は、後に父のアルコール依存症によって、ふたりの間に苦々しさと怒りしかなくなってしまったことの、償いになるべきなのだろうか。現在の父には何も期待せず、ずっと昔に与えてくれた思い出だけで、父への愛を持ち続けるべきなのだろうか。

     それとも、感情について語る時に、そのような白黒はっきりした決断を期待すること自体、ばかげているのだろうか。


    - サンターナ・イーッサル

    2005年にデリー大学経済学部卒業。ニュースチャンネルで短期間インターンとして働き、その後まったくの偶然から企業映画の助監督を務めることになる。その1年後、デビュー作『ありのまま』を監督するチャンスが訪れる。完成後、メディア活動グループと共に働き、都市部での動物保護活動についての研究助成で締め切りに追われ、そして第2作のアイデアを思いついた。