1999-09-11 | | | アジア千波万波 スペシャル・プログラム |
◆アジア千波万波 スペシャル・プログラム
●日韓/ビデオアクティビズム
「つくる・見せる・変える〜日本・韓国のビデオアクティビズム」
10月20日(水)-21日(木)
日本と韓国で、同時に大きな盛り上がりを見せる近年の自主メディア状況を、「VIDEO ACT!」のスタッフが紹介し、問題提起する。労働運動や女性の生き方、野宿者など日韓で取り上げられている共通 テーマの新作が並べて上映され、来場した制作者たちの激論が白熱。ビデオアクティビズムとは、映像作品をつくるだけでなく、上映によって社会を変えていく、ひとつながりのプロセスだ。観客というより、参加者として会場に向かおう!
目玉のひとつは『ニッポン・戦争・私-1999-』映像キャンペーン。タイトルからイメージされる想いを3分間にまとめた映像を現在募集中。内容・表現は自由。寄せられた映像はそのままつなぎ合わされてYIDFFの会場で上映される。誰もが発信者になれる、ビデオアクティビズムの実践だ。詳しくは、ビデオアクト事務局(tel 03-3711-5649, fax 03-3711-5639, e-mail yt_w-tv@st.rim.or.jp)まで。
「VIDEO ACT!」は自主制作ビデオの普及・流通をサポートするため、制作者たち自身が立ち上げたプロジェクト。カタログの制作やインターネットのWebページの開設をはじめ、定期上映会などのイベントを主催している。参加作品・購入希望者、随時募集中。
●日台/ドキュメンタリー討議
「事例討議:全景(台湾)&CINEMA塾(日本)、映画運動の試み」
10月22日(金)-24日(日)
『月の子供たち』『陳才根と隣人達』でおなじみの呉乙峰監督と製作チームの「全景」が、台湾各地で映像制作のワークショップを始めて5年になる。制作から人材育成へ、台北から地方へ、少人数の活動から各地でのネットワーキングへと移行した全景の歩みと、日本で若者とともに映画を考える活動を始めて5年になる原一男監督率いる「CINEMA塾」の試みが交差する。
プログラムでは、全景のワークショップに参加した先住民族タイアル族の作家や聾者の作家の作品や、「CINEMA塾」の第1回作品『わたしの見島』などを上映。台湾から大勢のゲストを迎え、3日間にわたって日本・台湾、双方のドキュメンタリー運動の可能性について、徹底討議が繰り広げられる。
「CINEMA塾」は、映画を志す若者たちを公募して毎年開催されている、上映と討論のイベント。98年には映画の企画から撮影までを一つのワークショップとして、16ミリでドキュメンタリー製作を行なった。完成作品が『わたしの見島』(製作:HAGI世界映画芸術祭実行委員会事務局)。10月24日(日)の上映予定。
◆アジア千波万波 小川紳介賞審査員
中野理惠(プロデューサー・映画ディストリビューター/日本)
静岡県の伊豆に生れ育つ。大手建築会社、映画配給会社勤務の後、1987年(株)パンドラを設立。一方で、1970年代後半より、女性解放運動(ウーマン・リブ)に関わり、反性暴力を中心に、映画の自主上映活動もおこなう。
パンドラはオスカー受賞の長編ドキュメンタリー『ハーヴェイ・ミルク』が最初の配給作品であり、『100人の子供たちが列車を待っている』『百年の夢』『レニ』『ロシアン・エレジー』『セルロイド・クローゼット』『ナヌムの家』『ナヌムの家II』やソクーロフの6作品など、外国のドキュメンタリー映画の劇場配給をコンスタントに行っている日本で唯一の会社である。ソクーロフの長編ドキュメンタリー『精神の声』では共同製作者として参画した。
新人の作品を好み、ジェーン・カンピオン、ビョン・ヨンジュ、カロリーヌ・リンク、仙頭直美などが世に出るきっかけをつくっている。また、50本近くの社会教育用VTRやPRなどの演出・製作経験や、翻訳書『アダルトチルドレンからの出発-アルコール依存症の家族と生きて-』も出している。
林旭東(リン・シュイトン)
(映画批評家/中国)
1951年上海生まれ。中央美術学院の修士号を1988年に取得。以降、現在まで北京放送学院テレビ学部でドキュメンタリー論を教える。映画の研究と批評を専門とし、『中国の映画:第六世代か?』(1995)『中国の「ネオドキュメンタリー」について』(1996)などを執筆。1997年には『ドキュメンタリー』誌第一号の編集長を務める。ドキュメンタリーの演出もこなし『Laozihao』(1996)や『Zhalongde Ren』(1996)など。1997年には北京での第一回国際ドキュメンタリー会議の事務局長と国際コーディネーターを務める。