2016-04-09 | | | SIDOF映画祭(ソウル)参加 |
3月末、ソウル中心部にてソウル・インディペンデント・ドキュメンタリー・ビデオ&映画祭(SIDOF)2016が開催されました。その「アジア・フォーカス部門」で東日本大震災の記録映画を特集したプログラムがあり、この5年の間に作られた3.11記録映画の状況と311フィルムアーカイブについて考えるトークセッションも行なわれ、参加してきました。トークの登壇者として、アーカイブ担当者である事務局・畑の他に、『なみのこえ』新地町編、気仙沼編が上映された酒井耕監督、YIDFF「ともにある」2013、2015のコーディネーターでありDOMMUNE FUKUSHIMA! のキュレーターもされている小川直人さんが招かれ、それぞれ関わっている仕事についてお話しました。
トーク後の質疑では、現在苦境に立たされている釜山映画祭の闘いを反映して、特に原発事故に関わる映画をアーカイブするうえでの困難や、日本国内でのアーカイブの注目度についての質問も出て、「映画」「映像」に対する人々の意識の高さに関して、彼我のお国柄の違いが浮き彫りになりました。
また、会場近くにある、キム・ミョンジュン氏率いるMediActの事務所も訪問。市民による映像制作をバックアップするため機材を貸出し、実作のトレーニングコースなどを設けたり、育てた各地区のコミュニティ・メディア・グループをネットワーク化するなど、重要な仕事をされています。表現の自由に対する弾圧には何をおいても立ち向かわねばならないのは言うまでもないことですが、同時に市民の記録者、メディア製作・上映者を草の根的に増やし、互いにつながることもまたその大きな力となっていくでしょう。
SIDOFの若いスタッフを含む彼ら独立系の映画関係者の心意気に学ぶことの多い4日間でした。
- ■YIDFF「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」
- 当アーカイブは今年度で開設3年目を迎えますが、徐々に収蔵作品を増やし、また海外の大学図書館でも作品リストが活用され始めています。作品情報だけでなく、アーカイブの意義と狙いについては特設ウェブサイトでも公開中で、3.11記録映画に関わる活動も順次告知しています。他のあらゆる災害・事件についても同様ですが、震災後どんな記録映画が、誰によって、どのようなテーマで作られたのか、一部ではあってもその情報と映像そのものを将来に残し、それらに対しオープンにアクセスできる環境を保つということが、アーカイブに求められる基本的な役割だと考えています。