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2009-05-14 | YIDFF 2009 プレ・イベント
ゴジラを撮った男 本多猪四郎特集

- 映画祭本番を盛り上げるべく、プレ・イベントの内容が決定しました。今回はラスクでお馴染み「シベール」さんとの共催企画となります。本多監督との対談経験もあり、本多監督ファンを自任している作家の井上ひさし氏の講演会も予定。

YIDFF 2009 プレ・イベント
ゴジラを撮った男 本多猪四郎特集

怪獣映画だけが本多じゃない。この濃厚な人間ドラマに注目!

 「ゴジラ」も「モスラ」も「キングギドラ」も出てこない。この4本の主人公は「人間」である。「エゴ」「恐怖」「欲望」「倦怠」「勇気」そして「愛」。これらが錯綜しドラマが始まる。特撮とは本編の人間ドラマを支える技術である。

620日[土]
 10:30
空の大怪獣 ラドン
監督:本多猪四郎/脚色:村田武雄、木村武/特技監督:円谷英二/1956/82分
出演:佐原健二、平田昭彦、白川由美、田島義文、松尾文人

東宝特撮映画初のカラー作品。人間のエゴによって現代に蘇ってしまったラドン。その最期は哀切の極み。主演は井上ひさし氏の遠縁にあたる白川由美。ラドンを演じたのは『ゴジラ』のスーツに入っていた中島春雄(酒田市出身)。山形トリオが大活躍。イギリスでも大人気。ラドンよりもメガヌロンが恐い!

 12:30
妖星ゴラス
監督:本多猪四郎/脚本:木村武/特技監督:円谷英二/1962/88分/東宝スコープ
出演:池部良、上原謙、志村喬、白川由美、水野久美、久保明、天本英世

本多監督がいちばん好きな映画として挙げている。惑星落下パニックものだが、このアイデアは無類。各国がエゴを捨てゴラスに立ち向かう姿は、本多監督の願いでもあった。またミニチュアワークは円谷英二特技監督の頂点ともいえる。怪獣マグマに入っているのも中島春雄。

 14:30
井上ひさし講演
ゴジラと僕と山形と(仮)

 16:15
ガス人間㐧1号
監督:本多猪四郎/脚本:木村武/特技監督:円谷英二/1960/91分/東宝スコープ
出演:土屋嘉男、三橋達也、佐多契子、八千草薫、野村浩三、左卜全

科学者のエゴによってガス人間になってしまった水野(土屋嘉男)。零落した日本舞踊の家元春日藤千代(八千草薫)への愛は果たして実るのか。ケレン味のない静謐な本多演出が冴え渡る。意外なラストに落涙必至。最高傑作の呼び声も! リメイクの噂も聞こえてくる。

 18:30
マタンゴ
監督:本多猪四郎/脚本:木村武/特技監督:円谷英二/1963/89分/東宝スコープ
出演:久保明、水野久美、小泉博、佐原健二、土屋嘉男、八代美紀

この作品を観てトラウマになってしまった人も多いはず。ある種恐怖映画だが、人間のエゴがむき出しになったヒューマンドラマでもある。水野久美がもっとも思い出深い作品という。覚せい剤や麻薬使用への警鐘が込められている。


本多猪四郎(ほんだ いしろう)(1911.5.7−1993.2.28)

山形県東田川郡朝日村(現・鶴岡市)出身。日大芸術学部卒業、1933年、PCL(東宝の前身)に入社。山本嘉次郎や成瀬巳喜男の助監督につく。入社後3度徴兵され、終戦まで8年間も軍隊で過ごしたため、監督昇進が大幅に遅れた(初監督『青い真珠』1952)。『太平洋の鷲』以降円谷英二とのコンビで多くの特撮映画を監督、『ゴジラ』(1954)は全米で大ヒットを記録。一躍、世界に名を知られる映画監督となる。『地球防衛軍』(1957)、『美女と液体人間』(1959)、『宇宙大戦争』(1959)、『モスラ』(1961)、『キングコング対ゴジラ』(1962)、『怪獣大戦争』(1965)など、その作品の多くが海外でも公開され、現在活躍する映画監督にもファンが多い。『メカゴジラの逆襲』(1975)が最後の監督作品。引退後は『影武者』以後の黒澤映画を支えた。

 墓碑銘「本多は誠に善良で誠実で温厚な人柄でした 映画のために力いっぱいに働き十分に生きて本多らしく静かに一生を終えました 平成五年二月二十八日 黒澤明」。

本多猪四郎オフィシャルサイト


井上ひさし

1934年山形県生まれ。作家・劇作家。上智大学卒業。「ひょっこりひょうたん島」など放送作家として活躍ののち、72年に『手鎖心中』で直木賞を受賞。83年「こまつ座」創立、「頭痛肩こり樋口一葉」「人間合格」「円生と志ん生」他多くの戯曲を書き下ろし上演。映画化された作品は『日本人のへそ』『青葉繁れる』『ドン松五郎の生活』『四千万歩の男』『父と暮せば』など。主な著書に『吉里吉里人』『東京セブンローズ』『子どもにつたえる日本国憲法』など多数がある。01年朝日賞受賞。04年文化功労者。

『映画をたずねて 井上ひさし対談集』 筑摩文庫(筑摩書房刊)より


[会場] シベールアリーナ(山形市蔵王松ケ丘2-1-3)
[料金]
映画鑑賞券
前売:1回券1,000円、ペア(2回)券1,600円、通し券3,000円
当日:1回券のみ1,200円 ※映画祭正会員・賛助会員の方、60歳以上の方、障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方は1,000円
小学生:1回券のみ500円(当日、前売共通)
講演入場券
前売・当日1,000円
※シベール各店、山形市内各プレイガイド(本町プレイガイド、大沼デパート7F、十字屋デパート1F)、八文字屋プール、こまつ書店各店、山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局、山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー(ビッグウイング3F)にて発売中
※映画、講演とも映画祭招待券がお使いいただけます
[主催]
特定非営利活動法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭、シベール地域文化支援デビジョン
[問い合わせ]
phone: 023-666-4480(映画祭事務局、月−金)、090-2957-7946(当日)


山形国際ドキュメンタリー映画祭2009:10月8日[木]−15日[木]開催

 山形映画祭では、2011年の本多監督生誕100年を見据えて、「やまがたと映画」特集では、本多猪四郎監督全作品上映を企画検討中です。本年は「本多猪四郎と海」と銘打ちます。本多監督自身が、映画に身を投じたのは、ドキュメンタリー映画の父、ロバート・フラハティ監督の映画『アラン』を観てからだ、と書いています。フラハティといえば、山形映画祭のコンペ部門の大賞に冠せられた監督。まさに山形映画祭だからこそやるべき企画であると考えています。