english
2006-03-28 | 映画祭運営組織の変更について

(経過概略)

 山形国際ドキュメンタリー映画祭は、1989年に、山形市制施行100周年記念の事業として開催されました。それ以降、山形市と山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会の共催で、隔年で継続開催されています。

 この度、山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会は、これまでの運営母体であった山形市から独立し、2006年4月より民間主導の団体として映画祭の活動や運営を行ってゆくことになりました。

 映画祭の民間主導での運営については、第1回の映画祭終了後に組織内部で構想されましたが、準備が整わず見送られました。映画の知識や人脈を活かした専門業務を映画祭の初回より担っていた東京事務局に加えて、1995年には山形事務局に民間の専門スタッフが採用されました。以降、市職員が行っていた映画祭業務を徐々に引き継ぎ、現在山形事務局では、4人の専門員が、映画についての専門的業務の一端を担うと同時に映画祭運営マネージメントを行うようになっています。また、2005年4月には、それまでは山形市の担当課長があたっていた映画祭実行委員会の山形事務局長に、専門員が就任しました。

 2005年の第9回映画祭終了後、これまでの経過を踏まえて、改めて映画祭運営の民間主導が事務局から提案され、実行委員会のメンバーで構成される少人数の常任委員会が中心となり検討されてきました。映画祭の民営化によって、行政のシステムにとらわれない自由な発想と柔軟な対応で映画祭に関する業務をより迅速にアクティブに進めることができる反面、映画祭運営のための財源が充分に確保できるのかという不安など、会議参加者から様々な意見が出されました。

 数度にわたる会議の結果、2006年3月末に新組織を立ち上げ、4月から映画祭運営を民間主導で行う方針が決定しました。

 この方針を受け、常任委員会が独立準備のための検討会議を開き、山形市や事務局と共に新組織設立の準備を進めてきました。

-

 現実行委員会は2006年3月31日をもって解散します。今後の映画祭運営を担うための新しい組織は、28日行われた設立総会をもって正式結成されました。新組織は、現常任委員メンバーに新しい委員を加えた新体制となり、会長には、現実行委員長の田中哲(さとし)が選任されました。事務局はこれまでと同じく山形と東京にそれぞれ設け、映画祭の日常的な業務を担当します。連絡先や住所は変更ありません。

 組織名称「山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会」も変更はありません。

 財政面では、山形市からの補助金に加え、自らも様々な活動によって積極的に収益を産み出し、映画祭の運営に充てていくことになります。

-

 新組織は、映画祭の歴史と目的を引き継ぎながら、より多くの人に愛される映画祭を目指して、よりアクティブな活動を展開してきたいと、新実行委員会メンバー一同、心を新たにしています。

 また、新組織は、より安定的なNPO法人組織への発展を目指して準備を進めて行くことになります。今後も、皆さんのご理解ご協力、よろしくお願いいたします。

 

 


(新組織「山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会」の設立趣意)

以下の文章は、3月28日に行われた新組織の設立総会にて、読み上げられた設立宣言文です。

●山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会設立趣意書●

 山形県では、戦後いち早く学校映画教室が開かれたり、また地域に根ざした自主上映が各地で活発に行われるなど、「映画」に関しての特色ある活動に彩られた歴史を抱えてきました。

 山形市においても同様であり、映画産業斜陽の時代にも幾つかの劇場が生き残り、その後市民の力による映画館の建設もあって、現在は人口25万5千人の本市に6館18スクリーンの映画館があります。

 このような下地に支えられ、第1回山形国際ドキュメンタリー映画祭は、市制施行百周年記念事業の一環として、平成元年に誕生しました。県内各地の有志が運営に参加し、行政と市民が力を合わせて成功を目指す山形映画祭の第一歩が踏み出されたのです。

 その後隔年開催されてきた映画祭は、毎回多くのボランティアに支えられながら、官民が協力する運営方法が評価されるようになりました。加えて、世界中から寄せられる優れた作品の力も相まって、映画祭自体、国際的にも高い評価をいただけるようになりました。そして一方では、世界の人々と市民との交流の場が連綿と続いてきたのです。

 今般、このような歴史ある国際文化事業を山形市から引き継ぎ、民間主導のもとに継続させようとする試みは、健全で文化的なまちづくりと国際交流の促進に寄与し、映像による優秀な次世代の育成を図り、「映像文化都市山形」の実現を目指す市民のための事業であります。

 このため、山形市民はもとより、全国及び海外の映画関係者にもより広くご支援とご協力を賜りながら、山形国際ドキュメンタリー映画祭を引き続き継続させる新たな民間組織として「山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会」を設立しようとするものであります。

設立準備委員代表 田中哲  
大久保義彦
富塚正輝