山形国際ドキュメンタリー映画祭はNPO法人となりました!
2006年10月21日、「特定非営利活動法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭」は、映画祭の運営を担う新しい組織として、130名の正会員が結集して設立されました。翌2007年2月1日にはNPO法人として山形県から認証され、同月6日、法人登記を完了。前実行委員会から志と運営を引き継ぎ、2007年4月1日から実質的な活動を開始しました。
NPO法人は本来その活動の価値や意義を認め、可能性を育てようとする個人や団体などの参加によって成り立つ開かれた会員組織です。
NPO法人化の最大の狙いは、より豊かなネットワークの形成によって映画祭の継続と新たな可能性を支えてゆくことに他なりません。財政的にも山形市からの補助金のみに頼るのではなく、映画祭自身が行動する個人と団体の集合体となり、足下の山形はもとより日本国内や海外に対して、映画祭のあり方を磨きつつその魅力を伝え、共に支える人と資金を自らの努力で集めてゆくということ、これまでにない多様な出会いを求めてゆく中で、繋がる力、存在する力を改めて鍛えてゆくこと、それが新しい組織のテーマです。
ドキュメンタリー映画を通じ、世界を感じ、
つながっていけるように
世界の有り様や人の心を映しながら時に困難な状況を克服して立ち現れるドキュメンタリー映画。山形に届けられる作品の数々に出会える幸福の実現こそが映画祭開催の本義です。
また私たちは、映画祭期間中に限らず、多様な映像に触れる機会を日常的に作り出し、特に祭りの場を支えるヤマガタの人々と共に映画祭の存在を日々確かなものとしたいと考えます。映画祭のスタッフはこれまで以上に町や村を歩くことになるでしょう。学校や職場に映画を運ぶこととなるでしょう。それは、とりもなおさず映画と人を結ぶ映画祭本来の仕事なのであり、映画祭そのものを直接多くの人に開いてゆくことになります。
映画祭継続の成果として山形ドキュメンタリーフィルムライブラリーに収蔵されている作品の数々は映像による貴重な現代史といえるものです。貸出可能な作品を全国へ紹介する活動はもとより、1989年から蓄積されている7000余りの作品については、改めて学術的な考察の対象として位置づけた取組みが必要です。
山形国際ドキュメンタリー映画祭はみなさんで
作り上げる場です
山形には明らかに独自の映画の血が通っています。戦後いち早く取組まれた映画教室、県内各地域で行われてきた夥しい自主上映活動、市民による映画館建設運動、小川紳介の存在とドキュメンタリー映画祭、近年活発な県内での映画製作、映像を学ぶ学生たちの存在、そしてフィルムコミッションの誕生等、映画をめぐる様々な試みが、この数十年絶え間なく繰り返され、未だ止まないヤマガタ。
山形国際ドキュメンタリー映画祭は、そうしたそれぞれの動きの有機的な結び合いを苗床としつつ、映画に通暁したプロフェッショナルな人材がかかわることによって、ローカルな良さと国際的なスケールの大きさ、そして世界の映画史の中で果たすべき役割という絶妙なニュアンスを帯びて誕生し継続されてきたといえます。
私たちは、こうした映画や映像にかかわる試みの血脈を改めて意識し、互いの可能性をサポートしながら、映画祭の新しい仕事や価値を作り出したいと考えます。
高橋卓也