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YIDFF 2005 YIDFFネットワーク企画上映
『帰郷 ―小川紳介と過ごした日々―』(日本/2005/日本語/カラー/ビデオ/41分)
大澤未来 監督、岡本和樹 監督 インタビュー

みんなで小川プロを語りたい


Q: なぜ、小川プロと村人の話を題材にしたのですか?

岡本和樹: 小川プロの助監督だった飯塚俊男さんに「今度、小川さんの(十三回忌なので)お墓参りに初めて行くけど、撮らないか」と誘われたのがきっかけです。映画美学校に入るまで小川さんのことはほとんど知りませんでしたが、『1000年刻みの日時計 ― 牧野村物語』を見て、これはすごい、と思った。映画が村を記録するというより、村の歴史に映画を刻んだんじゃないかという感じがして、それが何なのかを撮りたい、という思いがありました。

Q: どうやって村の人々に迫っていったのですか?

大澤未来(OM): 初めは古屋敷の家の跡や『1000年刻みの日時計』に出てきた神社を撮ってみたのですが、何だろう、これという感じで。痕跡探しをするよりも、小川プロに深く関わった村の人たち一人ひとりに話を聞くしかないと思いました。彼らは「もう昔のことだから」となかなか話したがらなかったのですが、お宅にうかがってきちんと話す場を作ると、皆、当時のことを生き生きと語りだすんですよ。「最初で最後だ」と言って話をしてくれた人もいて、それだけ色々な思いを抱えて映画作りに協力していたんだな、と思いました。

Q: 撮り終えて、いよいよ山形で上映されますが?

OM: 村を巻き込んで映画を作った小川さんが語っていたことは、映画とかドキュメンタリーという枠では決して完結しない、普遍的な拡がりがあると思う。それを今回の上映を機に思い出して、ファンやスタッフや村の人たち、みんなで小川さんのことを語りたいですね。

(採録・構成:佐藤寛朗)

インタビュアー:佐藤寛朗
写真撮影:加藤初代/ビデオ撮影:加藤孝信/ 2005-09-24 東京にて